『最高の教師』九条が未来の後悔に触れる 自分の“居場所”を見失ってしまった江波

 夫の蓮(松下洸平)に「2周目の人生」であることを打ち明ける九条(松岡茉優)。返ってきた言葉は「合点がいった」という意外なもので、「すべてを信じることは難しくても一緒に考えることはできる」と受け入れられる。そして未来で起きる卒業式の日の出来事について、「犯人の可能性がある生徒は」と問われ、九条は何かに気が付いているような表情を浮かべるのだ。8月5日に放送された『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)第4話は、その時に九条の頭に浮かんでいた生徒、江波(本田仁美)にフォーカスが当てられたエピソードだ。

 家では母親が優秀な妹に入れ込み、学校では西野(茅島みずき)たちのグループに属しながらも周囲の顔色を窺ってばかりで、自分の“居場所”を見失ってしまった江波。ある日彼女は九条から突然呼び出され、交際間近の幼なじみ・浜岡修吾(青木柚)と関わりを絶つように告げられる。九条の“1周目の人生”で江波は、夏休みの最終日に浜岡をカッターナイフで刺してしまうというのだ。その場では反発しながらも、九条の言葉に妙な引っ掛かりを覚える江波が行きつけのカフェで考え事をしていると、そこへ同じ3年D組の栖原(窪塚愛流)がやってくるのである。

 1周目の人生で事件を起こした江波を、九条が迎えにいったという(未来の)回想。その際に江波が言った「居場所がない」という言葉が今回のエピソードの重要なキーワードであり、九条は江波に頼られたにもかかわらずきちんと向き合わなかったことが、例の卒業式のできごとに通じているのだと考える。すなわち今回のエピソードで描かれる江波への、また栖原への働きかけは、回り回って九条の後悔――あるいはこのドラマの根幹にあるものへと触れるものといえるだろう。

 中盤で九条は、栖原に対して“もうひとつの未来”を突きつける。江波に想いを寄せ、バンド仲間である浜岡の目的に気付きながら見て見ぬふりをしてしまった栖原が、江波に刺された後に退院した浜岡を襲うということ。起きる未来を“起きなくさせる”ために3年D組の生徒たちに向き合い“なんでもする”九条は、これまでのエピソードでも鵜久森(芦田愛菜)の死や瓜生(山時聡真)の転校、工学研究会の研究成果が壊される事件を阻止するために動いてきたわけだが、今回の栖原に対しての行動は、自分自身と栖原とを重ね合わせている部分が多く見え、より切実な印象を受ける。

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