『この素晴らしき世界』1人2役演じる若村麻由美の名演技 未だ明かされない2つの謎も

 浜岡妙子(若村麻由美)のなりすまし生活は、すでに引き返せないところまできていた。『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)の第3話では、妙子が若菜(若村麻由美:2役)のふりをしてテレビでコメンテーターの仕事に挑戦する。だが芸能界は妙子にとって驚きの連続であり、時に妙子の長所が裏目に出ることも。

 テレビの仕事に挑戦し始めた妙子のもとに、夏雄(沢村一樹)から突然の電話が入る。夏雄は、とある人物に会うために食事に付き合ってほしいと妙子に依頼。ついに妙子は、プライベートでも若菜のふりをすることになった。妙子が夏雄と共に会ったのは國東(堺正章)という男。若菜をずっとバックアップしてきた、芸能界のドンだ。「一度会ったら忘れられない迫力」と称されるほどのオーラを目の当たりにし、思わず妙子にも緊張感が走る。國東との食事会を無事に終えた妙子だが、若菜になりすまして仕事をするうちに芸能界への“違和感”に気づきはじめる……。

 第3話では、“妙子”と“若菜のなりすまし”という2役を演じる若村の名演技に心を鷲掴みにされる。楽屋でお菓子を食べている時は、若菜として派手なメイクをしつつも表情や仕草は妙子だとわかる。だが、七瀬ほのか(足川結珠)が挨拶にくると、若村は一転して若菜らしい威厳を纏う。同じメイク、同じ髪型でありながら表情や立ち振る舞いから、若菜なのか妙子なのかをしっかりと伝えてくる若村の芝居の力に、改めて度肝を抜かれた。若村が表現する「徐々に若菜になりすますことが板についてきた妙子」という絶妙な芝居は、若菜と妙子のはざまを描くエピソードでより活きてくる。『この素晴らしき世界』の真の面白さはここにあると言っていいだろう。

 さらに今回は、妙子の人柄もよく滲み出ていた。莉湖(木村佳乃)と食事に行った時には、互いの子供の話をするなど同世代の女性が心を許し合う姿が見える。また、ADの男性と息子を重ね合わせてしまう様子や、ほのかの身を案じて夢中で人助けしてしまうなど、普通の主婦に当たり前の感覚も。時にそれが妙子とバレるギリギリのラインだとしても、視聴者は妙子の優しく気さくな人柄に惹かれていくだろう。そして、それは莉湖や夏雄も同じなのではないだろうか。これまで若菜のまわりにいた人物は、妙子を若菜のなりすましとして見るだけでなく、“浜岡妙子”の人間性に惹かれているように感じた。

 本作がミステリ作品になりそうだと印象づけた2つの謎は、未だ明かされないまま。1つは夏雄の家に血の跡がついたように見えるクーラーボックスがあり、夏雄が穴を掘っている映像が流れたこと。2つ目は「Mr.Summer Time」の正体だ。「Mr.Summer Time」は夏雄でクーラーボックスの中身は若菜の死体と考えたいところだが、さすがにそうシンプルにはいかないだろう。『この素晴らしき世界』にうずまく黒い伏線がどう回収されていくのかを待ちたい。

■放送情報
木曜劇場『この素晴らしき世界』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:若村麻由美、木村佳乃、マキタスポーツ、平祐奈、中川大輔、永瀬莉子、円井わん、
時任勇気、谷田部俊(我が家)、堺正章、猫背椿、佐戸井けん太、西村まさ彦、沢村一樹
脚本:烏丸マル太
演出:平野眞、山内大典ほか
プロデュース:鈴木吉弘、水野綾子
主題歌:小田和正「what's your message?」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
音楽:村松崇継
制作協力:共同テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/subaseka/
公式Twitter:https://twitter.com/subaseka_fujitv
公式Instagram:https://www.instagram.com/subaseka_fujitv/

関連記事