『D.P』『生まれ変わってもよろしく』など、Netflixで配信中のウェブトゥーン原作ドラマ5選

『Sweet Home -俺と世界の絶望-』

『Sweet Home -俺と世界の絶望-』予告編 - Netflix

 Netflixオリジナルドラマ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』は、人間の欲望が怪物と化し、地獄した世界で戦う、ソン・ガン演じるチャ・ヒョンス、ピョン・サンウク演じるイ・ジヌク、イ・シヨン演じるソ・イギョンらの姿を描いたサバイバルホラー作品。

 原作は、2017年から2020年までNAVERにて連載され、ドラマ版は1話あたり日本円で約3億円近い製作費をかけたまさに超大作。配信開始から4日間で韓国と日本を含めたアジア8カ国の人気ランキングで1位を席巻し、1カ月で世界の2,200万世帯が視聴する記録を残した。

 本作は、生存と希望というテーマを探求するのはもちろん、人間性や人間のダークサイドなどにも焦点が当てられている。登場人物たちは、皆何かを恐れていたり、過去のトラウマを抱えていたり、自分の居場所を見つけようとしている心理描写も描かれている。

Netflixシリーズ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』 独占配信中

 また、人がいかに善にも悪にもなりうるかを示している。シリーズの登場人物の中には、最初は悪役とみなされる者もいるが、最終的には自分を取り戻す。最悪の人間でも善人になれる可能性があることを示している怪物は、人間の暗黒面のメタファーでもあり、登場人物たちの中に存在する恐怖、怒りなどの感情をそのまま象徴している。

 登場人物たちは常に命がけで戦い、どんなに追い込まれて危機的状況になったとしても、決して希望を捨てない。ヒョンスたちの勇敢な姿は、今日の世界に通じるものであり、わたしたちに希望というメッセージを与えている。

 2023年第4四半期(10月~12月)に配信されるシーズン2では、ヒョンスたちのどの部分に焦点が当てられ、どんなテーマで探求されていくのか期待したい。

『D.P. -脱走兵追跡官-』

『D.P. -脱走兵追跡官-』予告編 - Netflix

 優しさの中に芯の強さを持っている青年アン・ジュノは、兵役義務により入隊し、軍の脱走兵を追跡する部隊、D.P.の一員となる。そこで出会うク・ギョファン演じるハン・ホユルとタッグを組み、軍事基地から脱走した兵士たちそれぞれが抱える過酷な問題と厳しい現実を目の当たりにすることになる。『D.P. -脱走兵追跡官-』は、隠れた社会問題に焦点を当てた作品だ。

 軍隊というヒエラルキーの極致が舞台だが、不条理は現実に会社や学校でも存在する。特殊な軍隊という環境の中で罪意識もなく、憂さをいじめることで晴らす加害者、自分の身を守るために傍観者になる者、理由なくいじめの標的になる者……。人間の尊厳を保てなくなるほどのいじめと“傍観”することが、被害者にとっていかに残酷か。軍隊だけでなく、世界に共通し、あらゆる業界・社会における“傍観”することの罪の重さを考えさせられる。

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 ちなみに、原作の著者キム・ボトンは実際にD.P.に所属していたことがあり、その時の実体験をもとにしていて、ハン・ジュニ監督と脚本も共同執筆している。リアルな軍隊生活の厳しい現実が描かれ、義務、名誉、裏切りというテーマの探求と兵士であることの意味や、たとえ困難であっても義務を守ることの意味について、厳しくも現実にある厳しい問いを視聴者側に投げかけている。

 作品全体を通して、当たり前の良心でさえ通じない軍隊という組織の中で、ホヨルの飄々とした明るさ、ジュノの熱い正義感と2人のコミカルなやり取りが救いにもなっている。兵士たちの背景からなる人間みとリアルさのあるエピソードなどもあり、“韓国のゴールデングローブ賞”とも呼ばれる百想芸術大賞で賞を総なめするなど、メッセージ性の強いエンターテインメント作品。7月28日に配信開始されるシーズン2では、2人の前にどんな現実と不条理が待っているのか、注目したい。

『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』

『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』予告編 - Netflix

 『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』は、ベテラン俳優パク・イナンと“Netflixの息子”という相性を持つソン・ガンがバレエダンサーを演じたヒューマンドラマ。ナビレラという言葉は、“蝶々のように羽ばたく”という意味があり、単に“踊る”ではなく、“羽ばたく”という言葉にしたことで、年齢も性格も違う2人が挑戦し、共に成長していく姿を連想させてくれる。

 踊りに夢を見いだした70歳の老人と、才能あふれる23歳の青年。厳しい現実や困難に直面しながらもバレリーノを目指す2人の間に、やがて強い絆が芽生え始める。自分の野望を実現させたいと願う人々の助けを借りながら、2人が、数々の苦難に直面しながらも、一歩踏み出す純粋な姿は、夢を追い求めることの重要性と喜びを示している。

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 原作では、夢に向かって進み始める2人や、揺れ動く周りの様子が、優しく丁寧な筆致で描かれている。ドラマでも、ソン・ガン演じるチェロクとパク・イナン演じる“ハラボジ”(おじいさん)ことドクチュルの出会いからラストに至るまでの関係性の変化、お互いに影響と刺激を与えていく中で、周りの人々も徐々に変わっていく様子が丁寧に描かれている。

 異なる点としては、登場人物のバックストーリーの描き方が挙げられる。ドラマ内では、韓国の家族描写と人間関係がより濃密に描かれていて、家族間の軋轢、若者が直面する就職難、不安定な労働、ホテル業界による若者の搾取と切り捨てなどといった社会問題に関しても掘り下げられている。

Netflixシリーズ 『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』独占配信中

 特に見どころとなるダンスシーンでは、コントラストの強い照明と影を使ってバレエのステップやダンサーの動きをさまざまな方法で表現していて、他の場面より印象的なものにしている。

 また、作品全体を通して、人生をどう生きていきたいかといった人生と夢に関しての問いを視聴者に投げかけている。2人の苦境に立たされても進むべき道を行く姿からは、いくつになっても恐れずやりたいことはやるべきと思わされ、心を打たれること間違いない。

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