『シッコウ!!』織田裕二の不思議な魅力 “バディ”伊藤沙莉との抜群のテンポ感も

 この第3話の見どころは、約4分間に渡る小原の長台詞だ。それは「俺は独身だ」というひかりも「はあ?」と返してしまうような告白から始まる。だが、それは小原がなぜ執行官の道を選んだのかから、小原の本心まで。「俺だって胸が痛い。でも、それでも執行しなくちゃいけないんだ。人生に区切りをつけてもらうために」と小原は執行官としての在り方をひかりに説く。区切りをつけて、新たな一歩を踏み出してもらう。人生をリスタートしてもらう、そのきっかけを作る。執行官はそのためにある仕事だと、小原は熱く語りかける。

 小原がひかりを執行補助者として現場に同行させていたのは犬担当として。しかし、ここで小原は初めてひかりをバディと認め、彼女を説得しにやってきた。執行する者にとって大事なのは「ざわざわする心」。それは言い換えれば、相手を思いやれるということなのかもしれない。「友達」「人間愛」「ヨガ」という言葉に一気に不信感が募り、ひかりが即座に拒むテンポ感が最高だが、最後はしっかり「また一緒にざわざわしよう」とオリジナリティ溢れる言葉で爽やかに締める小原が憎い。彼は決して二枚目なキャラとは言えないが、こうしたシーンからも情に厚い性格が垣間見え、そんな役を織田裕二がしっかりと演じ切っている。これまでの鈍臭さもこのワンシーンで帳消しにしてしまうような、不思議な魅力が織田裕二にはある。

 新しい一歩を踏み出した遼一に加えて、もう一人新たな新生活を迎えようとしている人物がいた。それが執行官室事務員の栗橋祐介(中島健人)。彼が引っ越してきたのは、ひかりが住むアパートの隣だったのだ――。

■放送情報
『シッコウ!!~犬と私と執行官~』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:伊藤沙莉、中島健人(Sexy Zone)、織田裕二、笠松将、ファーストサマーウイカ、六角精児、菅原大吉、駒井蓮、モロ師岡、宮崎美子、渡辺いっけい、勝村政信
脚本:大森美香
音楽:得田真裕
ゼネラルプロデューサー) 横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー) 川島誠史(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)
演出:田村直己(テレビ朝日)、星野和成、高橋貴司
原案:小川潤平『執行官物語』
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日

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