『らんまん』はどうなる? 『スカーレット』『舞いあがれ!』に重なるじれったい恋模様

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第10週となる「ノアザミ」が放送された。万太郎(神木隆之介)は、実物に近い植物画を残すためには自らが石版印刷の技術を習得するべきと考え、大畑(奥田瑛二)が営む印刷所で働くことを決める。そして学会誌の発刊に向けて邁進する万太郎の陰で寂しい思いをしているのが、寿恵子(浜辺美波)であった。

 寿恵子は、自分の中に膨らむ万太郎への想いが“恋”なのかもはっきりと気付いていないものの、万太郎のことが気になってしかたがない様子。いつしか万太郎の来訪を心待ちにするようになっていた。その一方で、寿恵子がダンスの練習に励めば励むほど、鹿鳴館の開館に携わる高藤(伊礼彼方)との距離が縮まっていく。

(左から)西村寿恵子役・浜辺美波、高藤雅修役・伊礼彼方

 そんな中、母親のまつ(牧瀬里穂)からのアドバイスを受けた寿恵子は意を決し植物学研究室を訪れる。だがそこで見たのは、自分のことなど忘れたかのように仲間とはしゃぐ万太郎の姿だ。「槙野さん、待つのやめる」と落胆する寿恵子の姿が切ない。

 かつては高知と東京にいた万太郎と寿恵子は、ようやく近くに住むことになった。それにも関わらず心の距離はなかなか縮まらない。気付けば寿恵子は望んだわけでもないのに高級そうな馬車で送迎してもらうような暮らしに。そんなときに万太郎はその馬車の横で道端にうずくまりノアザミに夢中になっていた。道行く人々を蹴散らし子供の玩具を踏みつけ進む馬車に乗せられてしまった寿恵子と道端で植物を慈しむ万太郎の対照的な描かれ方には、2人の世界がすれ違っていく様をまざまざと見せつけられたようで心が痛む。寿恵子の手からかる焼きを頬張る万太郎の笑顔が思い出され、あの頃の幸せそうな2人に戻る日は、いつくるのだろうかと胸がざわついて悲しい気持ちになった。

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