『ペンディングトレイン』藤原丈一郎が叫ぶ切なる想い 第6話が大きなターニングポイントに
未来を決めるのは今の私たちなのかもしれない。『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系/以下『ペンディングトレイン』)の第6話では、ついに5号車と6号車のあいだで戦いが起きてしまう。そんな中、米澤(藤原丈一郎/なにわ男子)の切なる想いが人々の心を動かした。
6号車の人たちに襲われた紗枝(上白石萌歌)は無事逃げ切ったものの、今度は山本(萩原聖人)に捕らえられてしまう。そこで紗枝は、無線が実は壊れていて、山本が連絡をとったという話は嘘だと知ってしまった。紗枝が戻ってこないことで5号車の人々は混乱を極める。そして万が一に備え、武器を作って戦う準備をするのであった。やがて、予感は的中。5号車と6号車の人々は争うことになる。この混乱の渦中に紗枝は山本から逃げることに成功。そして争いを止めに入ったのは、米澤だった。米澤の言葉は5号車と6号車の人々の心を動かし、戦うことをやめさせた。そして、人々は元の生活に戻ろうとしていた……。
陽気でひょうきんな米澤は度々『ペンディングトレイン』の空気を明るく盛り立ててきた。だが本人は「自分にはできることがない」と思い悩む部分も。ワープ前の世界では夢もなかなか花開かず、サバイバル生活でも役立つような特技があるわけではなかった。優斗(赤楚衛二)のように率先してリーダーシップをとるタイプではないし、直哉(山田裕貴)のように誰かと戦う意思があるわけでもない。だが視聴者である我々は、人に寄り添える優しい心がある米澤に幾度となく救われてきただろう。その優しさは加藤(井之脇海)と通じ合い、2人は5号車の殺伐とした空気をそっと和ませるような存在であった。
第6話ではそんな米澤が、重要なメッセージを伝える。「もう闘うんやめよう! 滅びて正解やったって言われんように……せめて、人がまっとうな姿見せようや! 未来でさ、もう闘わんとこ……」と涙ながらに叫ぶのだ。この想いは5号車だけでなく6号車の人々を、そして視聴者の心をも動かした。米澤の言葉は今を生きる私たち大きな希望を与えてくれたのではないだろうか。徐々に治安が悪化し、将来に不安が募る今の世の中で、私たちができることは「今を真っ当に生きる」しかない。米澤が“未来で戦わない人生を生きる”と話すように、私たちも今を丁寧に生きることが重要だろう。米澤役の藤原丈一郎が声を枯らしながら全身で訴えかける熱い芝居は強く心に響いた。涙を流し、丁寧に描かれたイラストを破り、想いの丈をぶつけようともがく藤原の姿が私たちに大切なことを伝えてくれたのだ。