『らんまん』前途多難な万太郎と新キャラクターの邂逅 重要な場所になりそうな“長屋”

 佑一郎(中村蒼)の言っていた通り、東京は用心しなければいけない場所だ。そんなことを早速実感させられる万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)。『らんまん』(NHK総合)第27話では、万太郎が大事にしていた荷物が盗まれてしまった。

 佑一郎がお膳立てしていた下宿先を諦め、荷物を減らさずに泊まれる場所を探し始める2人。しかし、どこもかしこも荷物が多いと同じ理由で断られてしまう。「床が抜ける」「ネズミが出る」と些か宿側も大袈裟だが、万太郎も万太郎で「本はどんどん増えるし、標本も増えるし!」と馬鹿正直に話してしまうものだから仕方ない。筆者も最近実家からの引っ越しを経験したが、その物の多さに先住民をビビらせてしまったため、彼らの気苦労が非常に理解できる。そんな私から見れば「万太郎たちの荷物、そんなに多いか?」と思ってさえしまうのだが、1970年代まで大概の下宿の代表的な広さは“四畳半”。畳4つ半というわけで、そこにおそらく万太郎と竹雄が同居すると考えると、やはり多い。

 しかし、荷物の整理をするどころか高級牛すき鍋で腹ごしらえする万太郎。佐川にいた頃はそこまで感じられなかったが、いざ違う土地に来ると実家からの仕送りも貰えることもあって、この辺の下宿を探す身分としてはボンボン感が際立ってしまう。その差は、今回万太郎のトランクを盗んだ男(大東駿介)の住処と考えられる長屋の登場でさらに色濃いものになった。

 以前、万太郎が佐川を出て高知に行き、逸馬(宮野真守)と出会った時も彼の家柄の良さや、恵まれた環境で育てられてきたことが浮き彫りにされた。万太郎はそこで初めて自分が温室育ちの坊ちゃんである自覚を得たわけだが、その気づきが今回新たに登場した質屋で出会った成海璃子演じる女と、盗んだ男のキャラクターとの関係で生かされていくかもしれない。

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