『日曜の夜ぐらいは...』岸井ゆきのが“静かなパワフルさ”を発揮 翔子の過去に何が?

 ABCテレビ・テレビ朝日系にて放送中の清野菜名主演ドラマ『日曜の夜ぐらいは...』。さまざまな事情を抱えた3人の女性が偶然の出会いによって心を通わせ、それぞれ行き詰っていた状況から静かに動き出す様子が描かれる、心に響くドラマだ。清野が演じる主人公・岸田サチ、生見愛瑠が演じる樋口若葉と、ラジオ番組主催のバスツアーで知り合って親しくなる野田翔子を演じている岸井ゆきのは、数々のドラマや映画で名演技を見せており、第2話以降の好演にも期待が高まっている。

 サチは母・邦子(和久井映見)と、若葉は祖母・富士子(宮本信子)と暮らしているが、翔子は一人暮らし。厚木生まれの元ヤンキーで、家族に縁を切られ、タクシー運転手として生活している翔子は、夜勤明けの缶チューハイとラジオだけが楽しみの、寂しくてつまらない毎日を送っている。タクシーの乗客に自分語りをしては嫌がられて落ち込む彼女は、サチと若葉に出会うと大いにテンションが上がり、戸惑うサチにもガンガン距離を縮めていく。

 そんなヤンキー感満載の明るさと、独りぼっちの時の哀愁漂う表情を演じ分けている岸井は、2022年12月に公開された主演映画『ケイコ 目を澄ませて』で、耳が聞こえないボクサーを力演して絶賛され、第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、第96回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞など多数の映画賞を受賞。演技力の高さを世に知らしめ、さらに一段上のステージへと上がった印象だ。本作で岸井がケイコを体現する姿は本当に素晴らしく、全編を通して引き込まれ、心が震えた。

三宅唱×岸井ゆきの「気持ちのいい映画」のために “目を澄ませて”見えた新境地

三宅唱監督待望の新作映画『ケイコ 目を澄ませて』(12月16日公開)は、間違いなく今後「残る」であろう傑作だ。けれども本作は、今…

 現在31歳の岸井は、高校生の時に山手線の中でスカウトされ、2009年にドラマ『小公女セイラ』(TBS系)でデビュー。2010年にはドラマ『Q10』(日本テレビ系)、2011年には『マイ・バック・ページ』、『金星』など複数の映画に出演し、その後も『悪の教典』(2012年)、『銀の匙 Silver Spoon』(2014年)、『サムライフ』(2015年)など映画出演が相次いだ。筆者が岸井の演技を意識したのは、2016年の映画『ピンクとグレー』。中島裕翔、菅田将暉が出演する本作で、岸井はストーリーを揺るがす重要なキャラクターを演じており、観終わった後に、彼女が今後どのような作品で活躍するのかとても気になったのを覚えている。

関連記事