『風間公親-教場0-』人間らしい部分が垣間見えた木村拓哉 新垣結衣が少年課に入った理由

 工芸家の浦真幹夫(渕上泰史)が、自宅のリビングで殺害された状態で発見される。死後4日ほどが経過しており、隼田(新垣結衣)は被害者が正面から殴打されていることから顔見知りによる犯行であると推察する。一方で風間(木村拓哉)は事件現場であるリビングに散らばった皿が、一枚だけ埃をかぶっていない点に着目。そして隣人の子どもの目撃証言やNシステムなどから、捜査線上に19歳の大学生・萱場千寿留(生見愛瑠)が浮上。彼女は数日前に出産したばかりだった。

 5月1日に放送された『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)第4話は、前回に引き続き隼田にフォーカスが当てられたエピソードだ。被疑者がシングルマザーであること、またその被疑者が生まれたばかりの子どもに虐待をしている疑いがあることによって、隼田の過去と現在の両面と密接にリンクする。それは不登校児童と母親の関係が描かれた第2話の瓜原(赤楚衛二)のエピソードと同じパターンだ。かつて元夫が娘に虐待しているのを見て見ぬふりしてしまった隼田。その罪の意識から少年課で虐待防止に取り組んできたのだが、娘が突然父親のことを思い出したことで、彼女は再び罪の意識に押し潰されそうになる。それでも風間は「被害者の立場を忘れるな」と、刑事としての自覚を促すのである。

 今回は開始10分少々で千寿留に目星が付けられ、あとは現場に残されたいくつかの疑問点を解明することだけで“とどめを刺す”ことができるという点で潔い。異常な燃焼によって茶色く変色したステンレス製の煙突と、埃をかぶっていない皿、そして千寿留の暮らすアパートの大家から聞かされる、生まれたばかりの子どもの脚にあった傷のような痣。前回は被害者の行動がミステリーの要素として機能したが、今回は何の繋がりもなさそうないくつかの要素が一本の線でつながることによって、一種のカタルシスを生む。しかも豪華な内装の邸宅のリビングで繰り広げられるあたり、いかにもミステリーらしいシチュエーションだ。

 また、風間の動きにもこれまでにない変化が見られる。例えば第2話で瓜原が被疑者にとどめを刺したときは音も立てずにその場から立ち去り、前回は隼田を背後からアシストしつづけ、倒れてしまった隼田の代わりにとどめを刺した風間。今回は千寿留に対してシングルマザーを支援する制度の存在を伝え、被害者の取った行動を糾弾した後、「だからといって命を奪ってもいいということはありません」と強い口調で語りかける。少しばかり、風間の人間らしい部分が垣間見えた瞬間と言えようか。

 そして終盤に、警察学校の学校長である四方田(小日向文世)が現れ、彼の推薦で遠野(北村匠海)が“風間道場”に加わる。花が好きで、警察学校の花壇の世話をしていたことを話す遠野。以前のスペシャル版の『教場』『教場II』で、警察学校の花壇を世話していた風間。かつてコンビを組んでいた若い刑事が世話をしていたとだけ明かされていたが、大方の予想通りそれが遠野であると確定した。それにしても、もう遠野の順番がやって来るとは。

■放送情報
フジテレビ開局65周年特別企画『風間公親-教場0-』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:木村拓哉、赤楚衛二、新垣結衣、北村匠海、白石麻衣、染谷将太ほか
原作:長岡弘樹『教場0 刑事指導官・風間公親』『教場X 刑事指導官・風間公親』(小学館)
脚本:君塚良一
演出・プロデュース:中江功
プロデュース:渡辺恒也、宋ハナ
音楽:佐藤直紀
主題歌:Uru「心得」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyojo0/
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