『らんまん』森優理斗演じる万太郎の切ない幼少期 “役割”との葛藤の物語が幕を開ける

 布団の中で大人しくしていることを命じられた万太郎をよそに祝宴は開かれる。そこでは、分家筋の豊治(菅原大吉)や紀平(清水伸)たちが万太郎のことを“弱ミソ”などと悪く言っていた。その場はタキが本家の人間として立派に収めたものの、さらに不満をためた2人の「いっそ万の字は生まれてこん方が良かった」という5歳の子供に向けたものとは思えない言葉を、万太郎はたまたま耳にしてしまう。

 2020年前期放送の『エール』以来、実に3年ぶりの男性主人公となる本作。『エール』で窪田正孝が演じた主人公の裕一と同様に、万太郎もまた自分の好きなことややりたいことと、周りから求められる役割との間で葛藤していくこととなるのだろう。

 すでに前途多難な道のりが見えているが、分家の人々に「おまんらがいくら束になろうが万太郎一人にはかなわん!」とはっきり言い切ってくれる祖母、ひたすらに愛情を注いでくれる母、気は強いが言葉の端々に弟を思う気持ちが感じられる姉に囲まれた万太郎はきっと前に進んでいけるという安心感がある。宮﨑あおいが担当する語りも、彼女たちと同じように万太郎を見守ってくれているみたいであたたかい。成長し、植物学者になった万太郎が険しい沢や山を正装で軽やかに歩く冒頭のシーンは、これからの彼の人生を暗示しているのではないだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』
NHK総合にて、4月3日(月)より放送【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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