『ゴッホ「ひまわり」に隠された謎』は極上のミステリー 1時間半で世界の美術館を巡る

 だが不思議なことに、あの当時より本作を観たあとのほうが、ずっと「ひまわり」を身近に感じることができた。ゴッホの人生が、人々の心を惹きつけてやまないミステリーだとしたら、「ひまわり」こそ謎解きの手がかりなのではないだろうか。

 本作の面白いところは、世界中に散らばった「ひまわり」を一挙に観ることができる点にある。特にロンドン、東京、アムステルダムの3枚は、ゴッホが自身の絵を模写して描いたため、説明されなければ見分けがつかないほど似ている。

 だが、ロンドンに所蔵された絵は、8月に実際のひまわりを見ながら描いたもので、東京の絵が描かれたのは、同年11月末から12月頭の間。つまり、かの“耳切り事件”の直前。さらにアムステルダムのひまわりは、彼が病院から戻り、ゴーギャンの去った家で手がけた絵だと知ったらどうだろう? まったく見え方が違ってくるはずだ。

 今回で第3弾となる「アート・オン・スクリーン」には、本作のほかにも、ローマで開催されたラファエロ展を特別に撮影した『ルネサンスの巨匠 ラファエロのすべて』、“印象派の父”と呼ばれたピサロが残した手紙や作品とともに彼の人生を紐解く『ピサロ ―印象派の父』がラインナップされている。この週末は映画館に足を運んで、ルーブル、エルミタージュ、ナショナル・ギャラリー、プラドといった世界の美術館に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

■公開情報
『アート・オン・スクリーン Season 3』
シネ・リーブル池袋ほかにて公開中

【鑑賞料金】
一般(当日券):2200円(税込)
学生:1600円(税込)
※入場者プレゼント「ポストカード」(なくなり次第配布終了)
※特別興行作品のため「イベント割 ムビチケ作品共通券」の利用は対象外

協力:SOMPO美術館、SOMPOホールディングス株式会社
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
©exhibitiononscreen.com
公式サイト:https://artonscreen.jp/
公式Twitter:@artonscreenjp
公式Instagram:@artonscreen.jp

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