『相棒』過去の“相棒”たちから右京へのメッセージ? 最終回目前回は夢のような物語に

 亀山(寺脇康文)が気がつくと、右京(水谷豊)と一緒に薄暗い小屋で背中合わせになって手を縛られていた。3月1日放送の『相棒 season21』(テレビ朝日系)の第19話、いきなりふたりに何があったのだろうか。

 その数時間前、右京と亀山は奥多摩の山中に来ていた。角田(山西惇)から頼まれ、爆発音のような大きな物音がしたという通報の確認に来たのだ。ところが、山間の集落で聞き込みをしていたところ、ふたりは何者かに襲われ、拉致されてしまう。幸い、亀山が気を失っているうちに右京は手にかけられた縄をほどいており、すぐにでも監禁場所から抜け出せそうだった。しかし、亀山の頭上には、監視カメラのようなスマートフォンが設置されていた。逃げ出すには一気に走り出す必要があった。

「では、位置について」「よーいドン!」

 右京の静かな声と勢いのある亀山の声でふたりは走り出す。そこがこのドラマのオープニング映像と繋がった。最終話直前に見事な伏線回収が行われた瞬間だった。

 監禁場所を抜け出すことには成功するが、襲撃犯の目的も人数も不明で、ふたりは位置情報のわかるものやスマートフォンなどの通信手段も奪われていた。背後から追跡者が迫る中、右京と亀山は二手に分かれることに。こんな時はよく、「ご無事で」のようなセリフが使われるものだが、右京は仰々しくも「またご縁があれば」と亀山に声をかけて行った。

 右京は早々に、簡素に整備された山道のようなところにたどり着く。そして偶然見つけた山小屋で、怪しげな男(古河耕史)と遭遇。1カ月ほど前、白装束に身を包んだ謎の集団を目撃したという有力情報を耳にする。別れ際、その男は右京に「あなたは昔の上司に似ている」と話し、名を「神戸」と名乗った。右京は思わず「おや」と声をあげたが、テレビの前の視聴者も同じ思いに違いない。神戸とは、右京の二代目相棒・神戸尊(及川光博)を連想させるのだ。

 その後舗装された道に出た右京は、バス停でとある青年(鳥居功太郎)と出会う。右京を警戒するその青年は、「亨」というのだという。これは右京の三代目相棒・甲斐享(成宮寛貴)を思い出す名前だ。亨は足を挫いており、テーピングの代わりに白い布を巻いていた。それは山の上のお堂から取ってきたのだという。右京がそのお堂に向かうと、そこである男(石田佳央)に出会う。彼は、集落での聞き込み中に出会った山部守(田中奏生)という青年が行方不明になっているため、探しているのだという。もうお分かりだと思うが、その男は「冠城」と自己紹介した。四代目相棒・冠城亘(反町隆史)と同じ苗字である。

 山中で出会った彼らは、右京を昔、縁のあった人たちに似ていると言いながら、「いい部下に恵まれているといいなと思っています」「今思えば、認められたくて空回りしてしまっていたのかもしれません」など、それぞれの思いを口にした。それらは全て、同じ名前の過去の相棒たちの気持ちのようにも聞こえた。

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