『女神の教室』が明示した“天秤”に込められた真の意味 未来を見据えた前田拳太郎の言葉

『女神の教室』天秤に込められた真の意味

 司法試験の合格発表の11月。在学中に挑んだ照井(南沙良)は、実務演習クラスの仲間たちが見守るなか結果を見にいくのだが、あえなく不合格に。青南ローからの合格者は8名。藍井ゼミに選抜された5人のうち、照井と受けなかった天野(河村花)を除く3名は合格をはたしたのである。

 2月27日に放送された『女神の教室〜リーガル青春白書〜』(フジテレビ系)第8話。最終章に突入する直前となる今回のエピソードでは、司法試験や法曹界に限らず社会全般に通じる、“働くとは何か”という問いに向き合いながら、それぞれの将来と、そして現在を見つめていく。

 藍井(山田裕貴)のもとに、司法試験合格実績ナンバーワンを謳う有名予備校から引き抜きの話が舞い込んでくる。里崎(小堺一機)に頼まれて探りを入れようとした柊木(北川景子)だったが、報酬のために働いているのだと突き放す藍井から「いい法律家を育てたいとか夢や目標のある方が珍しい」とまで言われてしまう。その一方、司法試験に落ちた照井を遠巻きに見守ろうとする真中(高橋文哉)たち。そんななか真中は、妹からある相談を持ちかけられることに。

 入社した会社で些細なミスを理由にまったく仕事を任せてもらえなくなった真中の妹・美羽(山口まゆ)。そんな妹の姿を見て、働くとは一体なんなのかを考えるようになる真中。同じように、司法試験という明確な目標がありながらもその先をイメージできずに不安を感じる天野に、司法試験に落ちたばかりの照井、そして人生のあらゆるものに対して無感情な藍井と、それぞれの登場人物が、自分自身の現在地から決して明確な答えがあるわけでもない問いへと向き合っていくのである。

 実務演習の授業で柊木が出した事案ーー真中の話を聞いて作ったパワハラに関する事案を通して、ロー生たちは事案の中の“Aさん”にどう向き合うのかを考えながらも、働くとは何か、自分ごととして検討を重ねていく。そこで柊木が例に挙げるのは、憲法27条。「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」。働くことは義務でもあるが、それよりも前に“権利”なのであると知るだけで、その見え方は大いに変わっていくのだろう。

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