『警視庁アウトサイダー』冤罪事件の真犯人が判明 上白石萌歌が家族と正義の間で揺れる

 ついに10年前の冤罪事件の真犯人が明らかになった『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)第8話。

 蓮見光輔(濱田岳)の父・梶間優人(神尾佑)の冤罪事件の犯人は、若手政治家のホープ・小山内雄一(斎藤工)だった。彼が長野県警にいた頃、信濃一家の内通者として出会った歌川チカ(水崎綾女)は、組長で愛人の当麻秀和(鈴木一真)の指図でむしろ警察を欺いていた。さらには、当麻はその密会現場の写真を撮影し、チカの息子・涼牙(小越勇輝)を使って雄一の父・幸三(利重剛)を揺すっていた。

 つい最近週刊誌に撮られた雄一が当麻の事務所を訪れていた裏には、またしても当麻の揺すりがあり、雄一は信濃一家のフロント企業に対して国有地の払い下げ入札の便宜を図っていた。さらには彼の口利きでそこに音楽フェスの誘致まで実現し、一気に土地の価値を高騰させ、それを転がして得たお金で当麻は信濃一家から鷲見組本部に迎え入れられていたのだった。完全にアウトだ。ちなみに元長野県警会計課長・折原大吾(亀吉)は、当麻のマネーロンダリングに利用されており、10年前の冤罪事件の真実に近づき始めた架川英児(西島秀俊)や蓮見が、彼に辿り着く前に処分されたというわけだ。

 実際に事件当時、チカのアパートを訪れ犯人の男の声を聞いた小浜三代子(石野真子)も、雄一の記者会見の映像を見てこの声に心当たりがあるようだった。事件直後、雄一に呼び出された組対(組織犯罪対策部)の課長・船津成男(金児憲史)は現場の指紋を拭き取り隠蔽。そこに直後にやって来たのが、涼牙の更生を本気で願い関わっていた梶間だったというわけだ。

 しかし、なぜかつて長野県警本部長だった有働弘樹(片岡愛之助)がこんなにも躍起になって雄一のことを隠蔽しようとするのか。元妻・真由(石田ひかり)に話していたことが本当であれば、暴力団員にかつての同僚を目の前で殺されたことがある有働は、そうまでして雄一を政界に送り込み反社会勢力撲滅に関わる法案作成を推し進めたかったのだろうか。“大きな目標の実現のためには小さな犠牲は厭わない”ということなのだろうか。大好きな娘で新米刑事・水木直央(上白石萌歌)に迷惑がかからないようにと離婚することまで選んで。

 あの冤罪事件をきっかけに蓮見の父子も離れ離れになってしまったものの、家族の形が変わってしまったという点では全く次元は違うものの直央親子も同様だ。事件関係者の整理をしていく中で、自らホワイトボードに父親の名前を書いた直央だったが、いざ母親から自分への父親の愛情を聞かされ決心が揺らぎ始める。いよいよその父親の関与を認めざるを得ない状況になると途端に逃げ出したくなってしまう。父親の汚名を晴らしたい蓮見と、父親の不正とその裏にある家族への愛情に同時に向き合わなければならず、葛藤する直央の応酬も見応えがあった。

関連記事