『6秒間の軌跡』高橋一生の長年の心の傷が癒やされる 本田翼が痛みを解放するきっかけに
星太郎が勇人の依頼を断りたい真の理由。それは、岩永が星太郎のクラスで行われるはずだった母の日のイベントを中止にしたことがあるから。星太郎の母が出て行ったという事情を加味しての判断だったが、それはむしろ星太郎を苦しめた。腫れ物みたいな扱いを受け、かと思えば、父親について行くか母親について行くかという残酷な決断を迫られた星太郎の心をさらに惑わすような心無い言葉をかけてくる人もいる。星太郎の本当の気持ちはこうしてずっと閉じ込められてきた。
花火を打ち上げるためには、“星”と呼ばれる火薬だけではなく、玉皮をこわしてくれる“割薬”。つまりは、“星”を夜空に煌めかせるための火薬が必要なのだが、星太郎という花火玉にはそれが今まで入っていなかったのだろう。だけど、時にはあえて遠慮なく相手の心に踏み入ることができるひかりが、星太郎にとっての“割薬”になってくれた。岩永への怒りを爆発させ、散々駄々をこねて家を飛び出す。そんな思春期の子供みたいな星太郎の行動が、第5話における花火だった。
自分自身を空高く飛ばし、煌めかせてくれる割薬(=ひかり)がいて初めてさまざまな色や光を見せることができる星(=星太郎)。だけど、空が明るければそれもかなわない。どんな星も輝かせてくれる夜空という大きな器がなければ。きっと星太郎にとってそれは、40歳も過ぎてようやく吐き出せた思いを「辛かったなぁ」と何のためらいもなく受け止める航だ。だけど、航は本来ならばもうこの世にはいない存在。「お父さんは本当に幽霊なんでしょうか」という、ひかりの言葉が意味することはまだ分からないが、どうかこの美しい花火をいつまでも見ていたいと願ってしまう。
■放送情報
土曜ナイトドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:30〜0:00放送
出演:高橋一生、橋爪功、本田翼
脚本:橋部敦子
監督:藤田明二(テレビ朝日)、竹園元(テレビ朝日)、松尾崇(KADOKAWA)
ゼネラルプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:中込卓也(テレビ朝日)、山形亮介(KADOKAWA)、新井宏美(KADOKAWA)
制作著作:テレビ朝日
制作協力:KADOKAWA
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/6byoukannokiseki/
公式Twitter:@6secEx