『舞いあがれ!』夢とリスクの間でめぐみが下した決断 窮地に立たされた横山裕は大丈夫?

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第18週のタイトルは「親子の心」。週前半の久留美(山下美月)と佳晴(松尾諭)のエピソードに親子ならではの難しさと心の通い合いを目にしたところで、第85話は岩倉家の現在をとらえた。

 IWAKURAが製造した試作ボルトは品質試験をパスした。荒金(鶴見辰吾)によるとライバル社と比べても「遜色ない素晴らしい出来栄え」で、それを聞いた舞(福原遥)や笠巻(古舘寛治)、結城(葵揚)は会心の笑みを浮かべる。しかし、本発注は朝霧工業が受注することに。量産体制に入るだけの設備や資格がIWAKURAには不足しているためだった。荒金の言葉を受けて、めぐみ(永作博美)は浩太(高橋克典)の夢だった航空機部品を作る機会を得たことに感謝する。

 「岩倉浩太さん、懐かしいです」と荒金。浩太の名前が出てきたことに驚くめぐみと舞。聞けば、浩太は荒金の元同僚で新人時代に長崎で世話になったのだという。「オール日本製の航空機を作るんだと2人で大きな夢を語り合っていた」浩太と荒金は、その後、浩太が会社を辞めたことで違う道に進んだ。IWAKURAでめぐみと舞が航空機部品に取り組んでいることを知り、「ここにあの時の浩太さんの思いがちゃんと残っている」と感じた。

 同じ夢を持つ仲間の思いを残された家族が継いでいると知った荒金は、万感胸に迫るものがあったに違いない。これまでの舞やめぐみに対する態度も納得できる。新規参入のIWAKURAに対して言葉を選びながら意向を確認し、航空機部品の製造に乗り出すチャンスを与える。浩太との縁を明かした荒金は、単刀直入に航空機部品に特化する考えがあるかと問う。だが、めぐみの答えは……。

 荒金は試作品でIWAKURAの技術力を確認し、舞が提案した東大阪の工場がタッグを組む製造方式も承認していた。可能性は十分と決断した上のことだが、めぐみはその誘いを断る。めぐみは現実的だった。「夢のある話には必ずリスクも覚悟しなければなりません」。自動車業界に参入するため設備を拡大した直後、リーマンショックに見舞われ社員をリストラ。浩太もこの世を去り、そこから立て直したのが今のIWAKURAだった。

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