『相棒』謎解き回で右京の頭脳が冴え渡る 推理ドラマ好きにはたまらない満足感

 刑事ドラマやミステリードラマのおもしろさのひとつは、事件の真相を明らかにする謎解きである。1月18日に放送された『相棒 season21』(テレビ朝日系)第13話は、ある画家を中心にいくつもの事件が絡み合い、右京(水谷豊)の頭脳が冴え渡る見応えのある回となった。

 右京は、亀山(寺脇康文)とともに、情熱の画家と呼ばれた牧村遼太郎(小久保丈二)の展覧会を訪れる。2人は絵画を楽しんでいたのだが、そこでナイフを手にした男が、「椿二輪」という油絵を切り裂き、来場者の梅田(佐久間祥朗)という男に怪我を負わせる事件に遭遇する。「椿二輪」は、遼太郎が自身と愛人を二輪の花に例えたといわれる遺作で、完成直後に心中を企てたといわれる曰く付きの作品だった。

 しかし、一緒に心中を図った大宮アカネ(花澄)という女流画家は一命を取り留めていた。遼太郎の妻・智子(中山忍)は、自分こそが「椿二輪」のモデルで、心中騒動は、アカネによる殺人だと訴えていた。確かに、ふたりの心中方法は、遼太郎が自分の胸にナイフを突き立てていたのに対し、アカネは神経毒を摂取するというチグハグなものだった。もともと遼太郎の作品に心惹かれていた右京は、真相を探るべく、捜査に乗り出した。

 何はともあれ、まずは絵画を切り裂いた犯人を探さなければならない。亀山が自転車で必死に追跡したおかげで、犯人の住んでいるあたりの目星がつき、伊丹(川原和久)たちは早々にその犯人を捕まえた。だが、その犯人は「自分は頼まれただけだ」と主張した。襲撃を依頼した犯人も探さなければならない。

 その一方で、右京と亀山は牧村の死の真相を調査していた。「椿二輪」のモデルとなった椿は早咲きの椿で、3月には散ってしまうという。だが、アカネは牧村と付き合ったのは「桜が満開の頃」と言った。椿が散る前に絵の構想はできていたはずなので、アカネは「椿二輪」のモデルにはなり得ないのだ。ということは、アカネによる殺人という説は怪しいものとなってくる。謎はどんどん深まるばかりだ。

 しかも牧村の自宅を訪問した際、右京は額縁“だけ”が飾ってあるのを目撃する。その額縁の端には、少しだけオレンジ色の繊維が絡まっていた。これが別の事件が明らかになっていくきっかけとなる。

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