堀田真由、『大奥』家光役は「代表作になると確信している」 福士蒼汰との共闘を明かす

何度も助けられた福士蒼汰の存在

――家光は有功と少しずつ心を通わせていきますが、堀田さんから見た有功の魅力を教えてください。

堀田:有功は原作でも美青年として描かれていて、見た目の美しさはもちろん、家光を優しく包み込んでくれる完璧な人。だけど人間誰しもそうですが、彼自身も弱さを持ち合わせていて、大奥に来た理由も含め、家光と同様に表面上だけでは分からないものを抱えています。そのあたりも回を追うごとに明らかになっていくので、ぜひ注目していただきたいです。

――有功役を務めた福士蒼汰さんの印象は? また心に残っている共演エピソードはありますか?

堀田:第2回では、家光が出会ったばかりの有功を扇子で何度も叩く、原作でも有名なシーンが出てきます。それは家光としてのファーストシーンでもあり、家光が有功に何らかの引っかかりを持つ重要な場面なので、福士さんや監督と「丁寧にやっていきたいですね」というお話をしていました。ただ収録に入った途端、どういう風に有功を叩けばいいか分からなくなってしまって。そんな時、いつも福士さんがそばにきて「こういう風にやってみたらどう?」とアドバイスしてくださるんですね。それも押し付けではなく、一緒に私がやりやすい方法を考えてくれて。

――素敵ですね。

堀田:家光は心で思っていることと、言動として表に出てくることが真逆なキャラクターで、本当はいつも泣きたい気持ちを持っているのに強がってしまう。そういうチグハグなことをやっていなきゃいけないのに、心の部分につられて泣いちゃいけない場面で泣いてしまうこともありました。そういう時に助け舟を出してくださって本当にありがたかったですし、一緒に作品を作っていけて良かったなと思います。

――家光編といえば、大奥を取り仕切る春日局がかなり強烈なキャラクターですが、演じる斉藤由貴さんとの共演はいかがでしたか?

堀田:斉藤由貴さんとは違う作品でもご一緒させていただいたんですが、その時は絡むシーンがなかったので、実質的には今回が初めての共演でした。斎藤さん自身は現場で卵かけご飯の話をしていたり、すごく優しくてチャーミングな方なんですが、とあるシーンで春日局が「わかっておろうな」と言うんですね。その時の淡々とした台詞回しが怖くて(笑)。本当にカットがかかった瞬間にスイッチが切り替わって、春日局になるんです。福士さんもそうですが、素晴らしい方々と共演できて嬉しく思います。

――そんな春日局の力で、家光は赤面疱瘡で亡くなった本来の3代家光の身代わりに据えられ、女性でありながら男性として生きることを強いられますが、その振る舞いに関して工夫したことは?

堀田:立ったり座ったりなど、男性の基本的な所作については事前に教えていただいたんですが、個人的には、ヘアメイクで小姓の姿にしてもらっている時にわざと足を開いてみたり、外から気持ちを作っていきました。あとは、出演させていただいた大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)での収録で、男性キャストの皆さんとご一緒させていただくことも多かったので、その時に目の当たりにした所作を参考にした部分もあります。近年は時代劇に出演する機会も増えましたが、今までは女性の役でやっぱりどこか一歩後ろに引いているといいますか、戦に率先して参加することはまずありませんでした。本作でも戦に参加するわけではありませんが、帯刀することが象徴的なように、男性側の心理を大奥では感じられるのが新鮮でしたね。

――最後に「3代・徳川家光×万里小路有功編」の見どころを教えてください。

堀田:「3代・徳川家光×万里小路有功編」は家光と有功という、心に傷を持った者同士が寄り添い合い、次第に温かいものが生まれていく、人間の本質的な部分に揺さぶられるエピソードになっていると思います。色に例えるなら、冷たい青があったかいオレンジに変わっていくように、家光が有功に出会い、変化していく様をぜひ見守っていただきたいです。また家光は女将軍をやっていたかと思えば、次のシーンでは小姓の格好をしていたり、他の将軍に比べて扮装替えが多いので、そういった部分で目からでも楽しんでいただけると思います!

■放送情報
ドラマ10『大奥』
NHK総合にて、毎週火曜 22:00~22:45放送
出演:福士蒼汰、堀田真由、斉藤由貴、仲里依紗、山本耕史、竜雷太、中島裕翔、冨永愛、風間俊介、貫地谷しほり、片岡愛之助ほか
原作:よしながふみ『大奥』
脚本:森下佳子
制作統括:藤並英樹
主題歌:幾田りら
音楽:KOHTA YAMAMOTO
プロデューサー:舩田遼介、松田恭典
演出:大原拓、田島彰洋、川野秀昭
写真提供=NHK
©よしながふみ/白泉社

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