『ブラッシュアップライフ』幼い頃の自分に切なくなる 2周目の人生で色づく“嫌な思い出”

 正直なところ、ミタコングはかなりウザったい。これは完全に偏見が入っているが、絶対に抜き打ちで持ち物検査をやるタイプだと思う。麻美が机の中に入れていたゲームボーイアドバンスを見つけた瞬間、心なしかニヤッとしていたし。あの後、ミタコングは「先生だって、こんなことやりたくないんだよ。みんながちゃんとしてくれたら」と言っていたはずだ。

 大学生になり、薬学部に進学したことで、麻美の勤務先は市役所から調剤薬局へ。大学時代に交際していた田邊(松坂桃李)との接点も消えて、新しい人生を歩んでいた時、電車内で痴漢の疑いをかけられていたミタコングを見かける。夏希(夏帆)と美穂(木南晴夏)に動画を送るためにミタコングを盗撮していた麻美は、彼が痴漢をしていないことを知っている。だが、過去に散々嫌な思いをさせられてきた相手。麻美は葛藤したが、ミタコングを救うために勇気を振り絞った。ウザいと思っていたミタコングが、没収したゲームボーイアドバンスをずっと持っていてくれたこと。ずっと嫌な思い出だったミタコングとの日々が、2周目の人生で色づき始めていく。

 作中で流れた槇原敬之の「僕が一番欲しかったもの」。麻美はこれから、みんなが一番欲しいものを想像しながら、行動していかなければならない。歌手になる夢を諦めさせれば、福ちゃん(染谷将太)は離婚しなくてすむし、30歳を過ぎてバイトをすることもない。そう分かっていても何も言わなかったのは、福ちゃんの“一番欲しいもの”が子どもと過ごす尊い時間だと分かったから。麻美がもし止めていたら、福ちゃんの子どもが生まれることはなかった……と考えるとちょっぴりゾッとする。

 怒涛の勢いで進んでいく麻美の人生。第3話では、ついに1周目で死んだあの瞬間が訪れるようだ。麻美は、死を回避することができるのだろうか。まったく読めないストーリーが魅力のバカリズムワールドに、これからも酔いしれていきたいと思う。

■放送情報
日曜ドラマ『ブラッシュアップライフ』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:安藤サクラ、夏帆、木南晴夏、松坂桃李、染谷将太、黒木華、臼田あさ美、鈴木浩介、バカリズム
脚本:バカリズム
演出:水野格、狩山俊輔
プロデューサー:小田玲奈、榊原真由子、柴田裕基(AX-ON)、鈴木香織(AX-ON)
チーフプロデューサー:三上絵里子
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/brushup-life/
公式Twitter:@brushuplife_ntv
公式Instagram:@brushuplife_ntv

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