『舞いあがれ!』高橋克典と横山裕の考え方の差が浮き彫りに “自己責任論”の落とし穴

 だから、分かり合えないはずはないと思うのだが、見舞いに訪れた悠人はまたしても浩太とぶつかる。最初は良かった。確実に成長する会社を探しに、大阪にリサーチに来たという悠人は「お客さんのお金を預かって、有望な会社に投資して、お金増やすんが俺の仕事やからな」と、浩太や舞に語る。お金を“預かって”というワードに悠人の持つ責任感の強さが伝わってきた。

 浩太も最初こそ、そんな悠人の仕事に興味を示しているように見えたが、「リーマンショックも俺にとったら絶好の稼ぎ時」という悠人の言葉が引っかかる。そのリーマンショックで浩太は今、追い詰められているのだから。

「ちゃんとしてるところは生き残るし、そうやないところは潰れる。それだけの話やろ」

 悠人が語る“自己責任論”は、多くの人の生活が脅かされたコロナ禍にも至るところで言われていたことだ。常に世界の情勢にアンテナを張っている悠人からしてみれば、日頃から危機に備えていなかった方が悪いと思うのかもしれないが、浩太だっていい加減な気持ちで会社を経営しているわけじゃない。何十年も従業員とその家族の生活を守るために奔走してきた。そんな人にも時として、未曾有の出来事が容赦なく襲いかかる。逆に言えば、どれだけ悠人が日頃から努力していても、少し何かが違えば今回のリーマンショックでも大打撃を受けていたかもしれないのだ。努力が実るかは運も関係している。そのことにまだ気づけずにいる悠人は、「お父ちゃんが会社立て直すん、助けてくれへん?」という舞から差し伸べられた手を取るのだろうか。 

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

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