『クロサギ』プロデューサー陣が語る、平野紫耀×黒島結菜のラブストーリーの行方
12月23日に最終話が放送されるTBS金曜ドラマ『クロサギ』。武田梓プロデューサーと那須田淳プロデューサーのコメントが到着した。
本作は、詐欺によって家族を失った主人公が「詐欺師を騙す詐欺師=クロサギ」となって、本当の“敵”を探し出し打倒していく物語。人生のすべてを捧げ、「クロサギ」として詐欺師たちに立ち向かっていく。
2013年に全42巻で完結した、黒丸・夏原武による漫画『クロサギ』シリーズを原作に、完全版として新たにドラマ化。主人公・黒崎高志郎役で平野紫耀が主演を務め、ヒロイン・吉川氷柱を黒島結菜、詐欺師界のフィクサー・桂木敏夫を三浦友和が演じる。
御木本(坂東彌十郎)との戦いに決着が着いた第5話以降、黒崎の新たな仇として宝条兼人(佐々木蔵之介)が登場。物語の前半戦と第6話以降の後半戦、制作する上で意識したことについて、武田プロデューサーは以下のように語る。
「前作のドラマシリーズでは、まだ原作が完結していなかったこともあり、黒崎が御木本を倒すか倒さないかという展開の中で、結局決着がつかないところで終わっているんです。今作は原作が完結した上でのドラマ化だったので、その決着までを描くというのを最初から強く打ち出してきました。完全版と銘打ってやるからには、ラスボスである宝条を倒すまでを描くことが結果的に黒崎と氷柱、そして桂木との関係など、それぞれのキャラクターの決着みたいなものを宝条含め描いて、“クロサギ完全版”と言えるのかなと思っています。視聴者のみなさんがラスボスだと思っていた御木本を黒崎が倒した後の後半戦で、更なる敵が出くるとなったら、御木本の衝撃に匹敵するインパクトがないといけない。なので、宝条は登場したときにインパクトがあるような存在にしたいと意識していました。御木本は、詐欺師の世界の大物なので、遠い世界の人という印象があったと思います。ですが宝条は、詐欺師の世界に存在する側面だけではなく、実は自分たちの身近に、社会のなかに潜んでいるかもしれない存在であり、巨悪です。視聴者の皆さんがちゃんと心から「こいつ悪い奴だな」と思える存在にしたいと思いました。その方がより宝条に騙された数々の被害者に共感してもらえるようになりますし、実際にこういう形で泣かされている人は多々いるかもしれないと思うので、“やっつけて欲しい”と視聴者のみなさんが黒崎を応援したくなる敵にするということが後半のテーマでした。
一方、那須田プロデューサーは、御木本と宝条の違い、そして黒崎の行動原理について以下のように分析する。
「“遠い”とか“近い”というのを違う角度から見ると、御木本の詐欺は、人の欲望を利用して、人のお金を巻き上げる詐欺師としてのダイレクトな動機なんですよね。次に現れた宝条は、お金に固執しているというよりは、お金を得ることで自分の社会に対する野望を叶えようとしている。詐欺はひとつの手段であるけれど、詐欺に頼ることで力を持ち、自分が世の中を変えてやろうという動機なので、そこが違うんです。御木本は彼の個人的な欲望で詐欺をやっているのに対し、宝条がやろうとしてることは、社会を変えてやろうというようなこと。そのためなら手段を選ばず詐欺をし、権力を奪取するのにお金を集めて自分の社会的地位も上げていく、社会の構図の中に宝条も組み込まれているわけです。黒崎は、御木本のような詐欺師がいる限り自分の家族のように不幸になってしまう人がいるから、クロサギとして詐欺師を喰い尽くそうと思っている。しかし御木本を喰った後、もっと社会の中に根付いている悪い奴がいるということに気付き、戦い方のステージが変わっていくことに、自分の中で葛藤があります。世の中と向き合っていくときに、いろんな若い方々が社会に出ていく葛藤じゃないけど、自分の中でも整理のつかない葛藤と戦っている人たちが世の中にはたくさんいらっしゃると思います。氷柱や神志名(井之脇海)のように、世の中の秩序を守るのは法律に代表されること、例えば「正義」に代表される理想的なことで、それはそれで大事だけれども、その一方で果たしてそれで何ができるのか、すべては変えられるのか、守れるのか…。また宝条も、理想的な手段だけで何かを成し遂げることができるのかと考えているわけですよね。こういう答えの出ないものこそ、世の中に起こっていることとして照らし合わせられるものが色々あるんじゃないかと思います。そういうことを考えるキッカケにもなるのがエンタメの力かなとも思っています。ただ黒崎が葛藤のせめぎ合いみたいなものを背負いながら、新たな敵・宝条をどうやっつけるのか、これらをどうエンターテインメントにしていくのかっていうのは難しいところではありました。ですが、その複雑な背景を背負っている構図を上手く楽しめるようにするのが後半戦の課題でもありましたし、そこでまた新しい形のエンタメができるのではないかと思い制作しました」
脚本を手がけた篠﨑絵里子と最終回に向けて脚本を作り上げていく上で、武田プロデューサーは「平野さんとお会いする前の初期の段階から、篠﨑さんとは『クロサギ』は“自分は一人だ”と思っている主人公の黒崎に、周りの人たちが『一人じゃないよ』と伝えていく物語だとは話していました。ドラマの前半は、その意味をあまり前面に打ち出しすぎずに作ってきたんですが、後半になってくるにつれ、独りで戦っている黒崎に対して周りの人が『一人じゃない』と言葉にせずとも伝えていくようなシーンが増えてきて、それは篠﨑さん自身も意識して書かれていたことなのではと思います。我々も作っていく上で、黒崎の“孤独な戦い”をどう応援してあげられるかというところは、意識していました」と、意識したことについて明かす。
那須田プロデューサーは、「氷柱が黒崎に発する『一人じゃない』という言葉は、実はものすごく大事なテーマなんですよね。孤独であるからこそ成り立っているような人生を歩んでいる黒崎だって、『一人じゃない』って言ってくれる人がいないといけないと思います。世の中には、まだまだ出会ってはいないけど、同じ思いを持った人たちはたくさんいるはず。『私、ぼっちかな』と思っている人も、社会に生きている限りは独りぼっちなわけじゃないと思うので、その独りじゃないということがどういうことなのかという部分も、是非最終回を見て感じて頂けたら嬉しいです。ばらばらな小さな思いが、一つになって、力になっていくようなことはあるはずです。そういうことも、登場人物たちのなかに込められればと意識はしています」と、氷柱が黒崎に発する「一人じゃない」という言葉の重要性に言及。
ドラマを牽引してきた主演・平野が演じる黒崎について、武田プロデューサーは「最初の頃から、黒崎って圧倒的“主人公”だなと思っています。平野さんが黒崎を演じると華もありますし、行動とかも含めて、本当に全部が魅力的に見えるんですよね。後半戦にかけても更に見たことのない黒崎の顔がどんどん出て来て、驚くばかりでした。それがただ多面的なだけでなく、どの顔もちゃんと『黒崎らしい』と思わせてくれるのが、平野さん演じる黒崎の凄いところだと思います」と、その魅力を語る。
那須田プロデューサーも続けて、「黒崎というキャラクターを演じてくれた平野くんは、最初からひとつの人格を生きているわけではなく、自分はどういう人なのか分からない状況の中で、人間の中にある多面的なところを面白く演じるということに長けていると思います。前半戦でも、悲しいシーンの悲しみや人を騙しているところを演じている顔、そして氷柱に少し見せる切なさだったり、ちょっとした温かい気持ちを受け取った場面など……。いろんな人間のいろんな側面を瞬時のうちに感じさせてくれるその技量は、後半戦でよりさらに素晴らしくなっていると思います」とその演技力を絶賛した。
シリアスなシーンの撮影も多い『クロサギ』だが、今の現場はいい雰囲気なのだそう。「後半にかけて皆さん大分打ち解けて、初期以上に雰囲気は良くなっていきました。台本上の内容はどんどんハードになっていってるんですけど、現場は割と穏やかというか、楽しい雰囲気で撮影も進んでいます。平野さんが新しい変装衣裳を着て現場に現れた時に監督やカメラマンが『お、今日もかっこいいですね』と声をかけるというのが現場での定番のやり取りになっていたり、山本耕史さんが絶対に使えないアドリブで現場を爆笑させたり、いい雰囲気だなと思っています」と武田プロデューサーが明かした。
また、武田プロデューサーは、この作品を通して新たな一面を見せてくれたと感じるキャストとして、中村ゆりの名前を挙げる。
「新たな一面で言うと、早瀬かの子役の中村ゆりさんです。原作では男性だった早瀬をどういう風に作っていくかという悩みはあったんですが、逆に自由度が高くなりました。第5話でチャイナドレスを着たり、アクションシーンがあったり、割と砕けたキャラクターで、桂木がああやってどっしり構えているから早瀬は役柄として遊べたと思います。黒崎とのやり取りもお姉ちゃんと弟みたいな感じで、中村さんの本来の可愛らしさかもしれませんが、観ていて非常に私も楽しかったです」
那須田プロデューサーも「出てくるキャラクターが皆生き生きとしています。あえて、それぞれの背景は細かく描いてはないですが、狙い通りに、皆さんが瞬時に魅力を全開にしてくださるので、楽しく観れてると思います。一番謎の女であるかの子役の中村ゆりさんは、氷柱とは違う大人な可愛らしさや深みのようなものを瞬時に魅せて楽しませてくれてるなと思っており、毎回楽しみに観ています」と武田プロデューサーの意見に賛同した。
最終回に向けて、非常に切なくなってきている黒崎と氷柱の関係。黒崎と氷柱の最終回の見どころは、「最後までどうなるか分からない関係性の2人でいて欲しいですし、それをすごく楽しめるような最終回を作れたと思います。第9話でも切ない2人だったと思うのですが、黒崎と氷柱がどういう形であれ幸せになって欲しいと、視聴者に応援してもらえるような2人を描こうと思いながら作ったので、そこが見どころです」と武田プロデューサー。
那須田プロデューサーも「ドラマが始まる前も言ってたんですが、この2人は結ばれることのない悲劇の関係なわけですよね。でも最終回、そんな2人の間にどんな未来があるのかというのを感じさせるようなシーンを作ったので、それはぜひ楽しみにしていてください。ラブストーリーって結末を見るものだけじゃないと思うんです。特にこの2人は、設定上21歳で、人生まだ始まったばかり。そこにラブストーリーの関係性とは違うことが起こっていくのも見どころだと思っています」と最終回に向けての2人の関係性についてヒントを明かした。
いよいよ12月23日に迎える最終回。一番注目して観てほしいポイントについて、武田プロデューサーは「黒崎と氷柱、黒崎と桂木、このそれぞれの2人の関係性がどうなっていくのかというところと、黒崎自身がどうやって旅を終わらせるのかというところもポイントかなと思います。クロサギの生きる目的としては、この世の詐欺師を一人残らず倒していくというのがあり、御木本を倒してもまだ終わることができなかった、後戻りできないクロサギの旅がどうなっていくのか。黒崎の行く末を、視聴者の皆さんも一緒に見届けて欲しいです」とコメント。
那須田プロデューサーは、「黒崎の旅を一緒に辿りながら観て欲しいというのが、このドラマの大事なところかなと思っています。悲劇性が強かろうが弱かろうがみんな大なり小なり生きていく人生じゃないですか。だから、黒崎の人生を一緒に体感することで、これからの長い人生を生きていく若い方にもこのドラマを見返して、それぞれの結末に思いを馳せてもらえたら嬉しいです。神志名や氷柱が、黒崎と出会ったことで自分ができることってなんだろうと模索してきたわけですが、それはどんな人にもあることだと思います。自分ができることはどういうことなんだろう、そしてそれをどんな風に解決していくのかみたいなことを感じ取ってもらえる最終回になっていると思います。自分の正しいと思っていることを実現するのに、どうしたらできるんだろうと葛藤している氷柱や神志名のような人、それがちょっと複雑化している黒崎。そんな若い人たちが自分の理想や夢に向かっていく術を見つけ、どう決着をつけるのか。そういう若者たちと、このドラマに登場する人生のベテランな桂木、宝条、桃山などは、自分の生きてきたラストステージにどう決着をつけるのか。大人たちは今までの自分のやってきたことに決着をつけざるを得ないことになります。たくさん大人が出てくると、若者が奮闘している意味にクロスする、そういう最終回にできたような気がしています。そういうのはある意味、悲劇的なドラマをエンターテインメントとしてみる醍醐味にもなり、観る人のヒントになればと思っています」と最終回に向けてアピールした。
■放送情報
金曜ドラマ『クロサギ』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:平野紫耀(King & Prince)、黒島結菜、井之脇海、中村ゆり、宇野祥平、時任勇気、山本耕史、佐々木蔵之介、船越英一郎(特別出演)、三浦友和
原作:黒丸、夏原武(原案)『クロサギ』シリーズ(小学館刊)
脚本:篠﨑絵里子
プロデューサー:武田梓、那須田淳
演出:田中健太、石井康晴、平野俊一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kurosagi_tbs/