若月佑美、西野七瀬、桜井玲香　活躍相次ぐ乃木坂46“華の94年組”

　そして白石麻衣とともに乃木坂46で一時代を築いた後、今やドラマのヒロインとして数々の作品に出演している、乃木坂46出身女優を代表する1人の西野七瀬。グループ卒業後に女優としてブレイクしたきっかけと言えば、後に映画化もされた2019年のドラマ『あなたの番です』（日本テレビ系／以下『あな番』）での黒島沙和役だ。一見悪に立ち向かうヒロイン的な立ち位置で純情そうな女子大生だが、実は男たちを利用して連続殺人を楽しむ殺人鬼というサイコパスな役で、乃木坂46時代の清純なアイドルイメージを一変させる強烈なインパクトを残した。アイドル時代から関西弁を活かしたキレる役がうまく、『あな番』での、殺人の告白をする時の蔑んだ表情や、相手に死を選択させる時のニヤつきながら淡々と迫る演技など、清純派だからこそ目が据わった時の怖さという西野の隠れた面白さが抜群に発揮されていた。

　今年は『恋なんて、本気でやってどうするの？』（カンテレ・フジテレビ系）で、夫との恋に悩む専業主婦の響子役を務め、藤木直人演じる年上のシェフと禁断の恋に走る、これまでにない大人の純愛を演じた。『連続ドラマW シャイロックの子供たち』（WOWOW）では、家族を支える真面目でしっかり者のまっすぐな銀行員役を演じていた。他にも映画『ホリック xxxHOLiC』や『恋は光』にも出演し、活躍の幅は広がり続ける一方だ。

　そんな西野は、2023年1月3日放送のNHK正月時代劇『いちげき』では10代の女郎役、1月13日公開の映画 『イチケイのカラス』では、成績優秀な左陪席の裁判官・赤城公子を演じる。映画『イチケイのカラス』は、2021年にフジテレビ系で放送された同名ドラマの劇場版で、竹野内豊演じる自由奔放で型破りな裁判官・入間みちおを中心とした物語。今作では型破りなみちおに翻弄される裁判官役として、西野のツッコミ演技が期待できそうだ。

　さらに、乃木坂の初代キャプテンとして活躍した後、女優として活躍する桜井玲香も活躍が続く。スラッとした美しい容姿と気品さを持ちながら、歌やダンス、演技力も高いオールマイティーな人物だ。桜井は憑依型の演技に強みがあり、当時から一目置かれていた。2016年に若月佑美とWキャストとなった舞台『嫌われ松子の一生』の松子役では、愛に愚直で、男へ愛情をぶつける演技が、情熱的で儚く、滲み出る幸薄い色気がまさに松子そのものだった。

　若くして気品とアンニュイな色香を持つ、それが桜井の女優としての特徴と言える。2019年に乃木坂を卒業以降も舞台を中心に活躍し、同年にミュージカル『ダンス・オブ・ヴァンパイア』で神田沙也加さんとのWキャストでヒロインとして帝国劇場デビューを果たす。さらに『フラッシュダンス』（2020年）、『ゴースト』（2021年）、そして『DOROTHY（ドロシー）～オズの魔法使い～』（2022年）で初の単独主演を務めるなど、ヒロインを任せられる女優としてミュージカル界に欠かせない存在になっている。

　2023年3月にはミュージカル『ジキル＆ハイド』で、ジキルの婚約者エマ・カルー役を演じる。演技はもちろんのこと、舞台となる19世紀ロンドンの雰囲気や衣装が桜井の容姿に間違いなくハマるはずで、ビジュアルも楽しみだ。

　乃木坂46の1期生は当初から女優を目標に掲げていたメンバーが多い。乃木坂46の初期に行われたミュージカル『プリンシパル』をはじめ、それぞれが女優として切磋琢磨してきたことが、演技力だけでなく、自身のキャラを見つけ、それぞれ違った個性の役者として活躍できている理由ではないだろうか。現在28歳で、若い役も大人も演じられる、役者として一番面白い時期を迎えた“華の94年組”の活躍に注目だ。

※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正の上、お詫び申し上げます。

■放送情報
『invert 城塚翡翠 倒叙集』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30～放送
出演：清原果耶、小芝風花、田中道子、須賀健太、及川光博
原作：相沢沙呼『invert 城塚翡翠倒叙集』『invert II 覗き窓の死角』（講談社）
脚本：佐藤友治
脚本協力：相沢沙呼
演出：南雲聖一、菅原伸太郎、伊藤彰記
チーフプロデューサー：田中宏史、石尾純
統轄プロデューサー：荻野哲弘
プロデューサー：古林茉莉、柳内久仁子（AX-ON）
協力プロデューサー：藤村直人
音楽：Justin Frieden
主題歌：「妖」福山雅治（アミューズ／ユニバーサルJ）
制作協力：AX-ON
製作著作：日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト：https://www.ntv.co.jp/hisui/