『PICU』去った吉沢亮の心に突き刺さった言葉　2つの終末期から考える医師の役割　

　南の決断に対して心臓移植を望むも原因不明の感染症にかかってしまい治療の手立てがない圭吾（柊木陽太）は本人にはそのことが知らされず、ついに話すこともできなくなっていた。折り紙で作った花束を片手に彼のお見舞いに向かった同級生の優里（稲垣来泉）にもあまりに残酷な現実が突きつけられる。

　「先生の嘘つき。函館に帰ってきたのは元気になったからって言ったじゃん。圭吾、死んじゃうんでしょ？　何で見捨てちゃったの？　お医者さんなら治してよ」。病魔を前に南のことも救えず自分の無力さに打ちひしがれていたところから何とか這い上がろうとしている志子田にとって、この言葉は特にタイムリーに鋭く深く心に突き刺さったことだろう。また優里の何も取り繕わない泣きながらの訴えによって、志子田自身も息つく間もなく働き、何とか紛らわせようとしていた南亡き後の喪失感を、心の穴を見て見ぬ振りできなくなり、誤魔化せなくなったのかもしれない。雪が舞う中、南のいない家に帰る志子田の背中があまりに物悲しく心細くって、掛ける言葉が見つからなかった。

　「医者って何なんですかね？　分からなくなりました」とこぼした志子田だが、改めて救えなかった命と、一方でPICUによって、そして志子田が諦めなかったことで救われた命とどう向き合うのか。最終回まで残すところあと僅か、ドクタージェットにまつわる植野の決断と共に見守りたい。

■放送情報
『PICU 小児集中治療室』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00～21:54放送
出演：吉沢亮、木村文乃、安田顕、生田絵梨花、高杉真宙、菅野莉央、甲本雅裕、中尾明慶、高梨臨、菊地凛子、正名僕蔵、松尾諭、大竹しのぶほか
脚本：倉光泰子
演出：平野眞
プロデュース：金城綾香
医療監修：浮山越史（杏林大学病院）、渡邉佳子（杏林大学病院）
主題歌：中島みゆき「俱に」（ヤマハミュージックコミュニケーションズ）
音楽：眞鍋昭大
©︎フジテレビ
公式サイト：https://www.fujitv.co.jp/PICU/
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公式Instagram：@picu_cx