永作博美、高橋克典、高畑淳子が放つ“人間力” 『舞いあがれ!』舞を支える三者三様の教え

 夢に向かう人は美しい。我を忘れるほど心を奪われて突き進むその姿を見ると応援したくなる。

 『舞いあがれ!』(NHK総合)のヒロイン・岩倉舞(福原遥)は、とうとう「旅客機のパイロットになる」という夢を見つけて歩み始めた。まさしく、彼女は夢の中にいる。パイロットに“夢中”になっているーー。

 ただ、母のめぐみ(永作博美)だけは、彼女の夢を応援することはできなかった。娘が突然、航空学校に合格したら大学を中退すると言うし、めぐみにとっては未知すぎるパイロットの世界に飛び込むというのだから当たり前だ。大学中退を経験している彼女にとっては受け入れがたいのかもしれないが、それと同時に“めぐみなら分かってくれる気がする”とも思っている。

 舞が小学生のころ、めぐみの母・祥子(高畑淳子)を頼って、地元の五島列島に帰ったことがあった。めぐみも一緒にいる予定だったが、祥子からは「舞は、ここん来てから、ず〜っとめぐみの顔色ばうかがっとる」「舞は、お前に遠慮ばして、自分の気持ちば言えんとさ」との指摘が。さらに、体調を崩しがちの娘に依存していたため、しばらく離れた方がいいと忠告された。めぐみは、祥子と対立するのではなく、内省して舞と離れることを選んだ。今思えば英断だったが、当時の彼女の心境からすれば、断腸の思いだっただろう。その決心の裏には、舞に対しての深い愛情があった。その愛は10年以上たった現在でも消えてはいない。舞にやりたいことがあるなら最終的には応援してくれるはず。きっと大丈夫。分かってくれる。

 そもそも舞の中にある“飛行機が好き”というワクワクやドキドキを大きな夢へと昇華させることができたのは、父・浩太(高橋克典)の存在が大きい。偶然にも浩太も飛行機が好きだったこと、元気のないお父ちゃんのために模型飛行機を作ったこと、彼と一緒に空港近くで見た飛行機……。そのどれもが、彼女の中でキラキラした思い出になっていて、飛行機の仕事に携わりたい、という舞の夢を後押しした。

 何より、父親自身が夢に向かって突き進んでいることも大きいと思う。浩太が工場「岩倉螺子(らし)製作所」を引き継いで20年。同社は「株式会社IWAKURA」へと生まれ変わった。ここで保守的になるのではなく、どんどんチャレンジして会社を大きくしようとしている。“飛行機に自社の部品を載せたい”その想いでまい進しているのだ。浩太の背中を見て育った彼女が、“夢に向かう”父に影響されていないわけがない。知らぬ間に彼から多くのことを学んでいたのではないだろうか。

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