『君の花になる』山下幸輝演じる宝の葛藤 8LOOMが見せた揺らぐことのない“7人の絆”

 どんなに自分に落胆しても、人生は続いていく。だからこのドラマでは何度つまずいても立ち上がっていく姿が繰り返し描かれる。火曜ドラマ『君の花になる』(TBS系)第5話。今回スポットライトが当たったのは、弾(高橋文哉)に代わって、リーダーを引き受けた宝(山下幸輝)だ。

 1人で抱え込みすぎていた弾の役割を8LOOMのメンバーみんなで分担していったとき、最後に「あと何が空いてる?」とフランクな形でリーダーとなった宝。だが、彼は決してお飾りのリーダーなんかじゃなかった。

 もともとまっすぐな弾は作詞作曲により専念することができたし、なる(宮世琉弥)は振り付け担当としてのびのびと才能を発揮。栄治(八村倫太郎)も年上組として大人たちと交渉するという自分の役割を自覚することができたし、何かにつけて弾とぶつかってきた最年長の有起哉(綱啓永)とのパワーバランスも取りやすくなった。

 肩の荷が下りたとはいえまだまだツンデレな弾に巧(NOA)が素直になる大切さを気づかせることもできたし、いろんな意味で鼻が利く竜星(森愁斗)も穏やかな空気に安心感を見出していたように思う。

 グイグイ引っ張っていくカリスマタイプの弾から、親しみやすさで団結力を高めていくムードーメーカータイプの宝へ。それは、一人ひとりの個性も特技も違う8LOOMにとっては英断だったに違いない。

 だが一方で、宝自身は苦しんでいた。あす花(本田翼)のアドバイスを素直に聞き入れ、みんなのいいところをメモするノートを書き込んでいた宝。しかし、自分のページにはなかなか書き込むことができない。

 自分には何があるのだろうか。メンバーよりも秀でているところなんて何もないんじゃないか。そんな自分がリーダーなんてしていていいのだろうか……真っ白なページに、そんな宝の葛藤が見えた。

 もちろん、そんな謙虚で真っ直ぐなところこそ宝の魅力なのに。しかし当の本人が、その強みに気づいていないということはよくあること。そして自分の良さに確信を持てないときこそ、無理をしがちなものだ。その心配が的中するかのように、宝はダンスの過度な自主練習をして足を怪我してしまう。しかも、契約更新がかかった配信ランキング発表を控えた大事なライブ直前に。

 きっと以前の弾だったら、そんな宝を置いて6人でステージに上がっていたかもしれない。だが今の弾は、そして8LOOMは迷わず怪我をした宝と共にライブを成功させようとメンバーの力を借りる。そんなどれだけピンチに見舞われても、そこから何ができるかを考えようと切り替えるポジティブな姿勢に、チーフマネージャーの香坂(内田有紀)も「彼らなら奇跡を起こせるかも」と期待をせずにはいられない。

 実際に、グループで活動をしている人たちを見ていると、誰かが怪我をするというのは珍しいことではない。当然、万全の状態でパフォーマンスを観たいというのがファンの願いではあるのの、そうできなくなってしまったときにメンバー同士がフォローし合う姿も、またエモーショナルな思い出になることもある。

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