『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』圧巻のフィナーレ レイニラが世界の破滅へ足を踏み出す
翠装派から離反したサー・エリックが(原作によれば先々代ジェヘアリーズ王の)王冠を持ち出し、これが黒装派の手に渡ったことでレイニラは正式に女王を名乗る。しかし大衆の面前で戴冠式を行ったエイゴン2世ら翠装派の正当性を覆すのは難しく、レイニラは同盟勢力の拡大に力を注ぐ。踏み石諸島での合戦で重傷を負っていたコアリーズ・ヴェラリオン(スティーヴ・トゥーサント)が回復し、黒装派に合流。無血開城を目指すレイニラはヴェラリオン艦隊による海上封鎖でキングズランディングへの“経済制裁”を目論む。レイニラはさらなる支持を取り付けるべくウィンターフェルのスターク家へ長男ジェセアリーズ(ハリー・コレット)を、嵐の果て城(ストームズ・エンド)のバラシオン家へ次男ルケアリーズ(エリオット・グリホルト)を使者として派遣する。ここでもレイニラは流血沙汰を避けるようにと息子らに七神への誓約まで行わせている。
しかし、嵐の果て城には既に翠装派の手が及んでいた。エイモンド・ターガリエン(ユアン・ミッチェル)が送られ、城主バラシオン公の娘との婚姻を条件に同盟が結ばれた後だったのだ。エイモンドは幼少時代に奪われた左目の恨みを果たそうと、ルケアリーズに片目をよこせと迫る(サファイアの義眼がホワイトウォーカーの青い目を思わせるのが面白い)。ルケアリーズは落とし子と揶揄する挑発にも乗らず、冷静にその場を去ろうとするがストームズ・エンドの凄まじい風雨がドラゴンをも動転させた。執拗な追撃を続けるエイモンドと巨竜ヴァーガーに対し、ルケアリーズの愛竜アラックスが火炎を吐いて応戦。2頭の竜は制御不能の状態に陥ってしまう。『ゲーム・オブ・スローンズ』でもデナーリスがドラゴンを使いこなすまで相当な時間を要したが、人が使うにはあまりに強大で、決して御することのできない力なのだ。暴走したヴァーガーによって哀れルケアリーズはアラックスもろとも一口で噛み砕かれてしまうのである。
第10話は第1話のラストシーンの韻を踏むように、レイニラのアップで幕を閉じる。ルケアリーズの死の報せを受けたレイニラは動揺し、我が子を産んだ身体をさすり、怒りに打ち震える。そこにはかつて王位継承という自らの運命に息を詰めた少女の面影はない。彼女をターガリエンたらしめる“炎と血”が、世界を後戻りのできない破滅へと向かわせてしまうのか。物語はシーズン2へと続く。
■配信情報
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』
U-NEXTにて配信中
出演:パディ・コンシダイン、マット・スミス、オリヴィア・クック、エマ・ダーシー、スティーヴ・トゥーサント、イヴ・ベスト、ファビアン・フランケル、ソノヤ・ミズノ、リス・エヴァンス、ミリー・オールコック、ベサニー・アントニア、フィービー・キャンベル、エミリー・キャリー、ハリー・コレット、ライアン・コア、トム・グリン=カーニー、ジェファーソン・ホール、デヴィッド・ホロヴィッチ、ウィル・ジョンソン、ジョン・マクミラン、グレアム・マクタヴィッシュ、ユアン・ミッチェル、テオ・ネイト、マシュー・ニーダム、ビル・パターソン、フィア・サバン、ギャビン・スポークス、サバンナ・ステイン
日本語吹替版キャスト:早見沙織(レイニラ・ターガリエン役)、津田健次郎(デイモン・ターガリエン役)、堀内賢雄(ヴィセーリス・ターガリエン役)、大塚芳忠(オットー・ハイタワー役)、坂本真綾(アリセント・ハイタワー役)、大塚明夫(コアリーズ・ヴェラリオン役)、田中敦子(レイニス・ヴェラリオン役)、諏訪部順一(クリストン・コール役)
共同企画・製作総指揮:ジョージ・R・R・マーティン
共同企画・共同ショーランナー・製作総指揮・脚本:ライアン・コンダル
共同ショーランナー・製作総指揮・監督:ミゲル・サポチニク
製作総指揮・脚本:サラ・ヘス
製作総指揮:ジョスリン・ディアス、ヴィンス・ジェラルディス、ロン・シュミット
監督:クレア・キルナー、ジータ・V・パテル
監督・共同製作総指揮:グレッグ・ヤイタネス
原作:ジョージ・R・R・マーティン『炎と血』
原題:House of the Dragon
翻訳:川又勝利、佐々井朝衣
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公式サイト:https://www.video.unext.jp/title_k/house_of_the_dragon