『アトムの童』山﨑賢人×松下洸平が散らす演技の火花 これまでにない空気感の日曜劇場に

 『アトムの童』(TBS系)第2話は、もう1人の「ジョン・ドゥ」菅生隼人(松下洸平)をめぐってストーリーが展開。那由他(山﨑賢人)と隼人の火花散るやり取りに胸を熱くした視聴者も多かったと思われる。

 海(岸井ゆきの)に請われて、アトム玩具でゲームを開発することになった那由他。「最高のゲームを作る」と豪語するが、言葉とは裏腹にエンジンがかからない様子。見かねた海は、パートナーを探すためゲーム制作イベントに那由他を連れて行く。そこには隼人も来ていた。

 ジョン・ドゥ分裂の直接の原因は、那由他と隼人の共通の友人・公哉(栁俊太郎)の死だが、SAGASの興津(オダギリジョー)も関わっていた。SAGASにゲームの権利を奪われ、責任を感じた公哉は命を絶ち、公哉を死なせた後悔から那由他はゲーム作りをやめた。しかし、隼人はゲームを作るためSAGASに入社。那由他は隼人に裏切られたと感じ、それ以来、2人の仲は疎遠になっていた。

 気分屋の那由他はストレートに感情を表現するが、まじめな隼人は石橋を叩いて渡るタイプ。水と油のような2人の相性は最悪で、潤滑油の役割を果たす公哉がいなくなれば、離ればなれになることは避けられない。時が経ち、誤解が積み重なって修復不可能と思われた絆をふたたびつないだのは、海の存在も大きいが、ゲームへの変わらない情熱と公哉への思いだった。

 隼人がSAGASに入社した理由が、自分たちのゲームを取り戻すためと知った那由他は、隼人の後を追う。映像作品で橋は人生の分かれ道を暗示している。那由他の呼びかけに隼人が応じることはなく、その場を去るが心はたしかに動いていた。山﨑賢人と松下洸平の対峙はそれぞれ全存在を賭けた迫力があり(「お前じゃなきゃダメなんだよ!」)、火花を散らすような言葉と視線の応酬は見応えがあった。『アトムの童』というドラマは主要キャラクターの関係性が大きな比重を占める。「ゲームには性格が出る」という隼人のセリフもあったが、ライバルで運命共同体でもある関係を山﨑と松下が事前に練り上げていることが2人の演技から伝わってきた。

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