『舞いあがれ!』高橋克典&松尾諭の過去が明らかに 父親の勇姿が子どもたちを力づける

「どがん向かい風にも負けんと、たくましく生きるとぞ」

 失敗は悪いことじゃない。そう教えてくれた祥子(高畑淳子)との日々は、舞(浅田芭路)にとって何ものにも代えがたい財産となった。

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第3週が幕を開け、舞台は五島から再び東大阪へ。成長の象徴である“ばらもん凧”をお守りに掲げ、舞はさっそく向かい風に立ち向かっていく。

 お互いを大切に思うがゆえに、心の余裕がなくなってしまっていた舞とめぐみ(永作博美)。2人は祥子のアドバイスでしばらく距離を置くことになったが、逆に家族の絆は深まった。自分のことは自分でできるようになったのは舞だけじゃない。浩太(高橋克典)も悠人(海老塚幸穏)もめぐみに頼りきりだった過去を省み、台所に立つ。

 たとえ家族であっても、人と人だからうまくいかないこともある。でもそれだっていくらでもやり直せること、またその一つの手段として距離を置くことを描いたのは画期的なのではないだろうか。親も子も成長過程にある岩倉家を見ていると心がふっと軽くなる。

 さて、元いた小学校に久しぶりに登校した舞はある衝撃の事実を告げられる。可愛がっていたウサギのスミちゃんが死んでしまったというのだ。夏の暑い日に飼育係の久留美(大野さき)がスミちゃんを涼しい家に連れて帰ったところ、翌朝息を引き取っていたという。直接的な原因は不明だが、久留美はその出来事によって“ウサギ殺し”のレッテルを貼られ、仲間外れにあっていた。

 体育にも参加できるようになり、新しい友達も増えつつある舞。だが、熱を繰り返し出していた頃に舞を気にかけてくれていたのは、久留美と貴司(齋藤絢永)だけだった。そんな2人への感謝を舞は忘れない。次の日学校を休んだ久留美の家まで駆けつけ、「望月さんのせえやない」と久留美を励ます。引っ込み思案の舞がその一言を伝えるのにどれだけ勇気がいったか。もともと持っていた舞の優しさに強さが加わり、色んな人に優しさが伝染していく。

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