『六本木クラス』竹内涼真、平手友梨奈らの熱演で大成功 テーマを色濃く表した台詞の数々

 『六本木クラス』(テレビ朝日系)が9月29日に最終回を迎えた。最終回の世帯視聴率は全話最高の10.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。配信を行っているNetflixのランキングでも上位をキープしており、放送前の風当たりの強さを考えれば大成功を収めたと言っていいだろう。

 成功要因として、リメイク元である韓国ドラマ『梨泰院クラス』のストーリーの面白さも当然あるが、竹内涼真、平手友梨奈をはじめとする出演者たちの熱演が大きかったのは間違いない。「ビジネス」「復讐」「仲間」「親子」「恋愛」「信念」などのテーマに加え、クライマックスでは単なる“土下座合戦”を超えて「生きること」そのものが力強く謳われていたことも視聴者の胸に響いたのではないだろうか。

 ここでは『六本木クラス』の中で印象に残ったセリフをいくつかピックアップしてみたい。『梨泰院クラス』を元にしたものもあるが、いずれも『六本木クラス』のテーマを色濃く表しているものだと考えている。

「カッコいいです。信念に従ってやったことなら、これ以上私から言うことはありません」
宮部信二(光石研)

 長屋龍河(早乙女太一)を殴り、長屋茂(香川照之)の土下座の要求を突っぱねた主人公・宮部新(竹内涼真)を称える父・信二の言葉(第1話)。信二は続けてこう言う。「お前は堂々と生きてる。それが父親としてどんなに誇らしかったか。きっと母さんもそう思ってる。これからも、自分の信念貫け、新」。この言葉がその後の新の生き方を強く後押しした。

「俺の信念と気合いを見せつけてやるから。楽しみに待ってろ」
「俺の価値をお前が決めるな! 俺は、絶対成功してみせる」
宮部新(竹内涼真)

 新の生き方を表す2つの言葉。前者は龍河と再会したときに静かに言い放ったもの。後者は刑務所で出会った内山亮太(中尾明慶)に因縁をつけられたときに叫んだもの(いずれも第3話)。『六本木クラス』というドラマは、この2つの言葉を愚直に実行していく新の姿を描いたものだと言っていいだろう。新にこう言われた亮太は、後にヤクザに同じことを言おうとしたが、言い終わる前に殴られてしまった。

「ここで働かせてください。夢は私がかなえてあげます、社長」
麻宮葵(平手友梨奈)

 葵が「二代目みやべ」で働くために自分を売り込んだときの言葉(第3話)。自分の夢をかなえるために働かせてもらうのではなく、自分が社長の夢をかなえてあげると宣言しているのがいい。葵は単なる主人公のサポート役にはとどまらない。どこまでも主体的なヒロインなのだ。「私が幸せにしてあげますね」という最終回の言葉とも通じている。

「優香、君が何をしても俺はブレないから。優香は自分の人生を一生懸命生きてるだけだし。何も間違ってない」
宮部新

 楠木優香(新木優子)にかけた言葉から(第4話)。新は自分の人生を生きている人をけっして否定しない。長屋に就職した優香のことも否定しないし、自分たちを妨害してくる茂でさえ認めていた。他人を勝手に自分の枠にあてはめることなく、評価したり、見下したりすることもない。だから新には人がついていくのだろう。ただ、この時点で優香は「一生懸命」ではあったが、自分で自分の人生を選択はしていなかった。

「人間の器は夢の大きさで決まるみたいですよ。社長、言いましたね?」
麻宮葵

 外食産業でトップになる。大きな夢を語った新に対して、葵も一緒に夢を叶えることを誓う(第5話)。何気なく出た言葉だが、生活に追われて夢を忘れがちな大人たちの胸に刺さる言葉だ。夢を持って真っ直ぐ進むことができる若さが眩しい。

「この人に手を出したヤツらは、みんな潰してやると誓った。愛してる……心から」
麻宮葵

 新の壮絶な過去を聞いた葵は、自分の心にある気持ちが愛だと気づき、胸の中でこのように誓う(第6話)。『梨泰院クラス』にも同じ言葉があるが、こちらは「愛してる……心から」が加わっている。あえてストレートに愛を語らせることで、葵の素直さと主体性を表現しているように見える。

「僕の考える強さは人が作るものです。みんなの信頼が僕を強くする」
「人がいるから商売ができるんです」
宮部新

 長屋に乗り込んで茂と対峙したときに新が放った言葉(第6話)。茂が考える「強さ」とは、他人を踏みつけ、自分だけが得をするための力のことを指している。一方、新の考える「強さ」は他人を尊重し、他人から信頼を得て作られるものだった。両者の考え方はあまりにも対照的だが、はたして今の日本にはどちらのタイプが多いのだろうかと考えてしまう。

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