『ドライブ・マイ・カー』に続きA24×Apple TV+ドラマ出演 西島秀俊の海外進出の可能性
『ドライブ・マイ・カー』をきっかけに、西島の世界進出的な動きはより増えてくるはず。もともと、イラン人監督アミール・ナデリの映画『CUT』に出演した経験もあって、それもこれが初めてというわけでもない。さらに、これまでヴェネチア国際映画祭を中心に、何度も彼は海外の映画祭に出席している。むしろ、彼の海外進出は“ようやく”と言えるものかもしれない。ただ、そこで気になってくるのは「どこまで進めるのか」だ。『Sunny』も、単発の映画ではなくシリーズ(ドラマ)作品ということで、撮影期間も長いだろう。海外の監督やキャスト陣とともに仕事をすることが初めてではないにしても、長期的な撮影現場で求められるのは円滑なコミュニケーションだ。現在、世界で活躍する日本人俳優……例えば、『ブレット・トレイン』でもその勇姿を見せた真田広之や、同じく知名度の高い渡辺謙のように、ハリウッドで活躍できる存在になるためには、どうしても英語力が問われてしまう。しかし、その心配はご無用。すでに2011年、ヴェネチア国際映画祭で『CUT』のプロモーションインタビューを受けている際に、彼の流暢な英語が披露されていたからである。
彼の英語は、それこそ時々単語などに詰まっているものの、ネイティヴが話すような自然な口語表現が多く、意思疎通は難なくこなせる印象だ。
英語ができれば、おそらく話は早い。また今回、制作にA24が絡んでいることにも注目。というのも、本スタジオは近年アジア系の作品/俳優をかなりプッシュしているような印象だ。特にアカデミー賞作品賞にノミネートされた『ミナリ』や、スタジオ史上最大のヒットと名高いミシェル・ヨー主演の『Everything Everywhere All At Once(原題)』など、アジアに視点を向けた作品が高評価を得てきた潮流にいる。そんな中での西島のキャスティングは、当然かもしれないし、やはり配信後にはさらなる海外オファーが重なる予感がするのだ。
渡辺謙も真田広之も、日本人俳優がより世界進出しやすい地盤を整えてきた先人。ただ、なんとなく刀が登場するアクション映画など“海外が思う日本”的な作品でのキャスティングが目立ってきた。だからこそ、西島のような「サムライ」的なイメージが皆無なカメレオン俳優が海外でどんどんオファーをもらうようになることに、さらなる意義を感じるのである。是非、期待したい。