『ちむどんどん』良子役を好演した川口春奈 新ドラマ『silent』に向けて高まる期待

 妻として、母として、そして“自分”としての幸せ。1977年、彼女が「結婚生活」と「仕事」の両方を勝ち取ろうと奮闘していた年は、国際夫人連絡会が首相に面会し「男女平等を実現するための要望書」を手渡した年でもあり、結婚件数が前年より5万8500件減、離婚件数が4500件増した年でもあった。そんな中、時には間違った言動を取ったり、他責思考ばかりで自分の思い通りに行かないと気が済まない態度でいたりした良子だったが、石川家との戦いを諦めず、ついには納得させて職場復帰することができた。思えば、彼女はずっと何か自分の権外のものと戦い続けているのである。

 しかし、職場に復帰してからも石川家に抑圧されてきた反動か、自分に対する反発を逆に抑圧し返す癖がついてしまった良子は苦労を強いられた。生徒に対して自分の意思を押し付けたり、同僚に対しても大きな態度を取ってしまったり。博夫との離婚騒動の中でも、「対話を避けて自身の意見を押し付ける」悪癖が出てしまった良子だが、それも最終話近くまで来ると落ち着いてきたように思える。とは言ったものの、和彦の母・重子(鈴木保奈美)の元に直談判をしに言ったとき、目の前で賢秀との兄妹喧嘩を繰り広げた様子は凄まじかったが……。『ちむどんどん』は、彼女をはじめ多くのキャラクターが“劇的に”成長するわけではなく、悪い癖はまだあれど徐々に徐々に良い方向に向いていくのがリアルである。

 良子を演じてきたのが川口だったからこそ、彼女の頑固なキャラクター性に丸みを持たせられたように思える。自身で投稿するYouTubeチャンネルで垣間見える素は、良子のようにサバサバしていて物もハッキリいう印象だ。大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK総合)でも凛とした女性像を見事に体現していた彼女だが、10月期のフジテレビ木曜劇場『silent』では主演を飾る。デビュー15周年を迎える彼女が朝ドラから次に進む作品となる本作は、Snow Manの目黒蓮と共に紡ぐラブストーリー。『教場II』(フジテレビ系)以来の共演ともなるが、“若年発症型両側性感音難聴”を患った目黒演じる佐倉に惹かれる主人公・青羽役をどのように演じていくのか。『ちむどんどん』の良子役とはまた全く違う印象の役柄なだけに、新たな川口の体現するヒロイン像が見られる気がして今から期待の思いでいっぱいだ。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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