『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』とBTSに深い関わり? 共通点は“クジラ”

 BTSも“クジラ”とゆかりがある。楽曲「Whalien 52」(アルバム「花様年華pt.2」の収録曲)で言及されるクジラは、「世界で最も孤独なクジラ」とも呼ばれる「52クジラ(Whale 52)」を指しているようだ。52クジラとは52Hz音域を持つ世界唯一のクジラである。通常、クジラが放出する音域は12~25Hzの間。つまり52クジラは、他のクジラとコミュニケーションを取ることができないとされている。他人に理解されない辛さや孤独を抱えても、自分らしく未来に向かって歌い続けるという主旨の歌詞には、彼らがいつでも寄り添って思いを届けてくれる心強さを感じられ、多くの人が励まされただろう。

 メンバーのアニメーションキャラクターTinyTAN (タイニータン)で制作された「Dream ON」 のMVでは、日々に追われて心が疲れてしまった少女の元にタイニータンが現れ、0時になると大きな紫色のクジラに乗って空を飛び回り、笑顔を取り戻していく(※2)。同じく「We are Bulletproof:the Eternal」のMVに現れる雲の海を泳ぐクジラは、挫折や苦しみの中にいる7人を再び舞台へと導く役目だ(※3)。BTSの作品の中で描かれているクジラは、誰かの孤独を理解しそっと側にいてくれる、背中を押して道標となってくれるなど、受け手にざまざまな感情をもたらしたはずだ。

[TinyTAN | ANIMATION] - Dream ON

 では、ヨンウにとって“クジラ”とはどんな存在なのだろう。海の生態系の中でクジラは異質な存在だ。サイズも格違いで、魚と違って卵を産むことなく子を産んで育てる。エラがないため頻繁に水面に上がって息を吐き出さなければならない。それでも悠々と泳ぎ海と調和しているクジラは、偏見のない世界で自分の人生を生きているかのよう。だから、行き詰まった時にヨンウの前に現れ、自由で創造的な発想をもたらしてくれるのだろう。ヨンウの中にいるクジラは成長の過程にいるパートナーであり自分自身なのである。

 大手弁護士事務所「ハンバダ=深くて広い海」だけでなく社会に飛び込んだヨンウ。ここで広い海を想像してみよう。魚類、甲殻類、サンゴ礁からサメや巨大なクジラまでが共存している海では、多様な姿をしたものが一体となって美しい風景を作り出している。私たちが生きる社会もそうであってほしいと願いが込められているかのように。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(ENA公式Instagramより)

 『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』とBTSが“クジラ”をモチーフとした理由や伝えたいメッセージはそれぞれ違う。けれど、どれも私たちにとって必要なものを届けてくれたのではないだろうか。

参考

※1. https://www.youtube.com/watch?v=MDM027J_gM0 
※2. https://www.youtube.com/watch?v=K7BMF0ozFS0
※3. https://www.youtube.com/watch?v=7UWBYJjuIL0

■配信情報
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
Netflixにて配信中

関連記事