『東京リベンジャーズ』アニメ版再放送で1期の衝撃を再び 熱狂を生む“成長物語”を解説

 最後に推したいのが、主人公・タケミチの成長だ。

 中学時代に暴走族の先輩に目をつけられ、パシリにされて以降、負け犬根性が染みついているタケミチ。タイムリープした当初も、情けない自分の過去を再体験し、「俺の人生クソ」と吐き捨てる。けれど、生きているヒナタに再会したタケミチは、ヒナタを守りたい、やり直したい、と初めて強く願う。与えられた2度目の人生の中でリベンジを誓ったタケミチは、かつて背中を向けて逃げた相手に、今度は立ち向かうようになる。そして徐々に前向きさと強さを獲得していくのだ。

 ここで注目したいのが、タケミチ自身は喧嘩が弱いということ。マイキーやドラケンを始め、『東リベ』には腕っぷしの強いキャラクターが次々登場し、力で競い合っては相手を屈服させ、序列を作っている。そんな不良たちの中で、タケミチは最弱レベルと言ってもいい。だからこそ、弱いタケミチがどう見ても勝てない相手を前に何度でも立ち上がり、食らいついていく姿が、周囲の人間を鼓舞し、心を動かしていく。過去の世界で孤軍奮闘していたタケミチは、喧嘩の強さではなく、「諦めない」という強さを持ち続けることで、少しずつ仲間を獲得していくことになる。生まれ変わっても、過去に戻っても、自分自身の本質が変わるわけではない。けれど、自分の内面が変わっていったとき、世界も同時に変わっていく。それを体現するタケミチの姿は、画面を越えて観ている側の勇気になるはず。それが『東リベ』が世の中を熱狂させた1つの要因であることは間違いない。

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2021年4月よりテレビ東京にてアニメ放映がスタートした『東京リベンジャーズ』(以下、『東リベ』)。 東京卍會(以下、東卍)にと…

 原作マンガもいよいよ最終章を迎え、タケミチのリベンジも結末を迎えようとしている。過去を変えることの意味、そして自分を変えることの意味を問う『東京リベンジャーズ』、今からでも、いつ観ても遅くないはずだ。

■放送情報
『東京リベンジャーズ』「8・3抗争編」「血のハロウィン編」
MBS、テレビ東京、AT-Xほかにて再放送中
原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社『週刊少年マガジン』連載)
監督:初見浩一
出演:新祐樹、和氣あず未、逢坂良太、林勇、福西勝也、狩野翔、松岡禎丞、畠中祐、水中雅章、木村昴、野津山幸宏、河西健吾、小野大輔、土岐隼一、寺島拓篤、広瀬裕也、武内駿輔、葉山翔太、内山夕実、森久保祥太郎、江口拓也、榎木淳弥、花江夏樹
シリーズ構成:むとうやすゆき
キャラクターデザイン:大貫健一、太田恵子
バイク・プロップデザイン:福島秀機
美術監督:松本留美
美術設定:谷内優穂
色彩設計:田邦夫
撮影監督:山本弥芳
3Dディレクター:平将人
音響監督:飯田里樹
音楽:堤博明
アニメーション制作:ライデンフィルム

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