『ちむどんどん』桜田通が登場! 沖縄、東京、鶴見で明かされた賢三の過去

 『ちむどんどん』(NHK総合)第73話、暢子(黒島結菜)たち四兄妹はこれまで知らなかった優子(仲間由紀恵)の過去を知る。同じ頃、東京のフォンターナでは房子(原田美枝子)が二ツ橋(高嶋政伸)に、鶴見では三郎(片岡鶴太郎)が田良島(山中崇)に、それぞれにずっと秘めてきた過去の思いを語る。

 優子(優希美青)は那覇の食堂の娘で、両親とおじぃ、おばぁ、姉・時恵(大城ゆう紀)と弟・秀夫(阿久津慶人)の7人家族だった。琉球舞踊が上手な姉を真似て踊る優子のおっとりした雰囲気とやわらかな微笑みが、現在の優子に通じている。昭和19年10月10日の大空襲で那覇は焼け野原になった。家も食堂も燃え、おじぃとおばぁが亡くなり、両親と姉とはぐれてしまった優子は、弟とともにアメリカ兵に捕まり、捕虜収容所で終戦を迎える。暗がりの中、光に照らされた優子の、怯えながらも弟に寄り添う姿が心に残る。

 賢三(桜田通)はかつて、芸人一座の一人だった。歌手を目指していた頃の姿が映し出されることはなかったが、歌子(上白石萌歌)が使っている三線がその頃から使っていたものだと明かされる。賢三の夢と歌をこよなく愛する歌子がつながった。戦前、出稼ぎで鶴見に来ていた賢三は三郎(田中偉登)に三線を教えていたという。三郎との面識も明確になった。

 戦後、賢三は焼け跡の闇市で商売を始めていた房子(桜井ユキ)と再会する。原田演じる房子は、一度も会ったことのない姉の息子である賢三と出会ったとき、初めて親戚というものに出会い「うれしかった」と語る。戦後に再会した賢三は笑顔をなくしていたが、空襲で妹と生き別れになり、独りぼっちだった房子にとって、その存在は心強かった。闇市で働く房子の表情が、賢三との再会をきっかけに段々と明るくなっていくのが印象に残る。

 房子は賢三に名前の入った包丁を贈った。しかし賢三は沖縄へ帰ると、鶴見に戻ってくることはなかった。「アッラ・フォンターナ」で語る房子は「裏切られたと思い込んでしまった」と口にしていたが、桜井演じる房子がイキイキとした表情で賢三と働いていた姿を思い出すと、再び独りぼっちになってしまった彼女の喪失感は想像できる。

 沖縄では、弟が亡くなり、生きる気力をなくしかけていた優子が賢三と再会する。優子は「運命の再会だと思った」と語る。再会した優子と賢三がお互いを強く抱きしめる姿で第73話は幕を閉じた。ウークイの夜は続く。

※高嶋政伸の「高」はハシゴダカが正式表記。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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