二宮和也「考え抜いてタングと一緒に成長できた」 『TANG タング』撮影現場レポート到着

 8月11日に公開される二宮和也主演映画『TANG タング』の撮影現場レポートが到着した。

 ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれ、日本国内でもシリーズ累計発行部数38万部を超えるイギリスのベストセラー小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を映画化した本作。嵐の活動休止以降、初の主演映画となる本作で二宮は、妻に捨てられ、人生に迷うダメ男を演じる。

 ゲーム三昧で妻に捨てられた、ダメ男・春日井健は、わけあって無職で人生に迷子中。ある日、健の家の庭に記憶をなくした迷子のロボットが突然現れる。どこから来て、何のためにやって来たか分からないそのロボットは、自分のことを“タング”と名乗った。タングを最新型ロボットと交換するために始まった旅は、いつしかタングを直す旅に。しかし、そこで明らかになるのは、タングが失った記憶に、世界を変える秘密が隠されているということだった――。タングの記憶のために大きな選択を迫られる健。ふたりの迷子が大冒険の先に見つけた、人生の宝物とは。

 2021年3月から5月にかけて撮影が行われた本作。主人公・健を演じる二宮と、その妻・絵美を演じる満島ひかりのクランクインは3月26日、都内にある洋館風のハウススタジオからだった。この日撮影されたのは、華やかなホームパーティのシーン。室内には色とりどりの花やバルーンが飾られ、テーブルの上には丸寿司やブルスケッタ、生ハムサラダなど豪勢な料理が並ぶ。ドレスやスーツに身を包んだエキストラたちが揃ったところで、三木孝浩監督がシーンの説明を開始。「テーブルに沿って一列になり過ぎなので、もう少しばらけて自然な形にしましょう」など、丁寧かつ的確に指示を出していく。スタッフと歓談しながらその様子を眺めている二宮。『TANG タング』の作品性を表すような穏やかな空気が早くも流れ、そこに満島と、健の姉・桜子役の市川実日子が登場する。室内で10数名がそれぞれ動くシーンのため、グラスを持つ/持たないといった細かなセリフのニュアンスについて三木監督と入念に確認する満島と市川。待ち時間中も二宮、満島、市川の3人で談笑するなど、チームワークは早くも抜群の様子だったという。

 順調に撮影が進んでいくなか、このシーンのハイライトといえる瞬間が訪れる。それは、絵美が開けたシャンパンのコルクが大きく弧を描いて飛んでいき、最後尾にいた健がキャッチするシーン。実際にはコルクを正確に飛ばすのは難しいため、そう“見せる”ために長テーブルやエキストラの面々を挟んだ満島と二宮がタイミングを合わせないといけない場面だったが、二宮の「飛んできたコルクをキャッチする」演技の上手さにより、こちらもスムーズに撮影完了。実際にコルクは飛んでいないにもかかわらず、そうとしか見えない表現力と瞬発力を見せつけた。初日を振り返った二宮は「ここからどうなっていくか想像がつかない。タングとの会話も実際には1人で演じますからね」と気を引き締めつつ「ロボットとの共演に縛られ過ぎず、いい芝居を優先したい」と語っていた。

 4月2日、健とタングの出会いのシーンが千葉県内の牧場で撮影された。広大な牧草地を有し、その一角には立派な1本の木がそびえ立つエリアがあり、その幹に寄りかかるタングを健が見つけたことから、二人の大冒険が始まることになる。ぼたん桜が満開に咲き乱れる陽気の中、この出会いのシーンは陽が落ちるまでに撮りきらなければならない全編ロケ撮影。早朝から各スタッフが準備に奔走し、段取り開始は朝一で開始。加えて今回はタングを自在に動かすため、大掛かりなCG処理が必須となるため、撮影自体も特殊な工程を踏む必要があり、撮影前からかなりの試行錯誤が予想された現場といえるが、現場にはピリピリした空気はなく、和やかな中にも心地よい集中力が流れていたようだ。その中心にいる二宮もまた、常に自然体。重要なシーンとあって三木監督からは健の一つ一つの動作や、その時々の心情について出された細かいリクエストを二宮は即座に理解し、疑問があればすぐ確認するなど柔軟に対応。加えて、初対面となるタングを前に冗談を飛ばすなど、さりげなく“抜き”の時間を作り、現場の空気を穏やかにキープしていた。

 その二宮が演じる健の相棒・タングの撮影にはいくつかの過程を踏む必要があった。ポンコツロボットという設定を具現化すべく、ボディのあちこちをさび付かせたほか、傷み具合のディテールにもこだわりが光るタング本体を実際に現場に置いて撮影をする工程。タング本体は取扱注意の一点物のため、手足や首を動かすシーンにおいては、専門のスタッフが黒子的にタングを動かし、二宮と演技を合わせていく。さらに、シーンによっては腕だけのパーツなどを使って撮影をしていた。そこから、細部まで作り込んだ「本番用」と「簡易版」を使い分け、さらには合成あり/なし、実景のみなど、一つのシーンにおいても無数に撮影が生じることになった。それに合わせて二宮は同じシーンを何度も繰り返さねばならない状況だったが、集中力は一切途切れず、常にフレッシュな演技を披露した。撮影の合間に二宮は「CGと合成を使う現場らしさを感じています」と語りつつ、「人間がポップにやらないと、CGに追いつけない」と完成形を見据えた演技のこだわりを明かした。

 主演の二宮がクランクアップを迎えたのは5月10日。旅の最終地点、海岸線が一望できる岬。波の音が間近に聞こえる絶好のロケーションで、物語の終盤に用意された健とタングの絆が光るエモーショナルなシーンが撮影された。二宮にとってのクランクアップ日となったこの日で、全体の撮影スケジュール自体も実景の撮影以外は終了。初日から最終日まで、二宮と共に走り抜けた作品となった。二宮は最終日も気負うことなく的確な演技を披露し続け、トラブルもなく完走。クランクアップを迎えた際には「本当にうれしいです」と充実感をにじませつつ、「誰一人新型コロナウイルスの感染者が出なかった。これは我々の映画への愛情です」と感染対策を徹底して撮影を行ったスタッフ・キャストを労う。その言葉に聞き入っていた三木監督は、「みんなが手探りだったけど、考え抜いてタングと一緒に成長できた」とコメントを残している。

 あわせて、三木監督と話し合いながら真剣に撮影に挑む二宮の姿をとらえたメイキング写真も公開された。

■公開情報
映画『TANG タング』
8月11日(木・祝)全国ロードショー
出演:二宮和也、満島ひかり、市川実日子、小手伸也、奈緒、京本大我(SixTONES)、山内健司・濱家隆一(かまいたち)、景井ひな、武田鉄矢
原作:デボラ・インストール『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(松原葉子訳/小学館文庫)
監督:三木孝浩
脚本:金子ありさ
音楽:服部隆之
主題歌:milet「Always You」(SME Records)
配給:ワーナー・ブラザース映画
制作プロダクション:ツインズジャパン
製作:映画「TANG」製作委員会
Based on A ROBOT IN THE GARDEN by Deborah Install Copyright (c)2015 by Deborah Install Licensed by Deborah Install c/o Andrew Nurnberg Associates, London through Tuttle-Mori Agency, Inc. , Tokyo
(c)2022映画「TANG」製作委員会
公式サイト:tang-movie.jp

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