映画初主演の磯村勇斗が体当たり演技 ”奇妙”だが現実のように感じられる『ビリーバーズ』

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替わりでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は孤島でスキューバダイビングがしたい鈴木が『ビリーバーズ』をプッシュします。

『ビリーバーズ』

 カルトの世界に切り込み、人間の欲望をあぶり出した山本直樹の同名漫画を映画化した『ビリーバーズ』。「ニコニコ人生センター」という宗教的な団体に所属している3人の男女が“孤島プログラム”と称した無人島で共同生活を行う中で物語は展開する。

 登場人物はそれぞれ奇妙な役職で呼び合っており、磯村勇斗演じる「オペレーター」、宇野祥平演じる「議長」、北村優衣演じる「副議長」には、役割と階級があるようだ。

 「本部」と呼ばれる彼らにとって絶対的存在とのやりとりは、パソコンのメールのみ。「俗っぽいもの」を徹底的に排除した姿は、「あぁ、お金も物も、すべて寄付してしまったんだな」と思わせる。「ニコニコ人生センター」の象徴とも言うべき、見知った顔文字が「信じる者」の滑稽さを強調しているように思う。

 敬語で他人行儀に話し合う姿に、最初は清潔ささえ感じる。一体何が繰り広げられるのか。しかし、ストーリーが進むにつれ、人間の欲望が浮き彫りになってくるさまに、だんだんと他人事ではない気分になってくる。そして、尽きない欲は崇高な「信じる者」たちを完全に「人間」にする。

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