『ちむどんどん』おしゃれが象徴する女性の自由 男女の機微を知る愛の未来はいかに

 『ちむどんどん』(NHK総合)第65話では、念願かなって特集企画を任されることになった愛(飯豊まりえ)だったが、上司の田良島(山中崇)に企画書を突き返されてしまう。リミットは翌日で、それを過ぎると企画はボツになってしまう。困った愛は和彦(宮沢氷魚)と暢子(黒島結菜)、智(前田公輝)に協力を求めた。

 締め切り間際の緊急事態に、渦中の4人が同じ屋根の下に集まった。紙面で愛が取り上げようとしていたのは、20世紀ファッションの歴史と社会の変化で、そこに自分なりのメッセージを込めようとしていた。歴史が得意ではない暢子と、授業中に寝ていた智は、若干人選ミスの感もあるが、それでも愛の「昔の話は今につながっている」という言葉に励まされて、思いついたアイデアをメモにまとめていく。

 暢子は、愛にファッションが好きな理由を尋ねる。愛の答えは「変身させてくれるから」で、「好きな服を着た時はうれしくて、いつもと違う自分になれる」という言葉に、暢子は「自分の好きな服を着たら元気になるよね」と賛同する。さらに愛は、元気な気持ちが自由そのものであると洞察。そして、暢子の「どんな時代に生まれても私はズボンをはくし料理もしたい」という宣言から、女性の社会進出とパンツルックというキーワードが浮かび上がった。

 男性社会の中で女性が戦うこと。その一つの象徴がズボンで、具体的なイメージを得ることで愛の企画に命が吹き込まれた。女性の社会進出は今なお課題が多いが、「ウーマン・リブ」が叫ばれていた時代には、こうやって一つ一つ言語化していくことが必要だったのだと感じる。

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