『ちむどんどん』愛と和彦のすれ違い 第13週は“働くカップル”の悩みもテーマに?

 しかし、パートナーに自分の仕事の相談をすることは難しい。それは東京の愛(飯豊まりえ)と和彦カップルにおいてもそうだ。愛はついに自分がずっとやりたがっていたファッションの提案企画が最終まで残ったことを、上司の田良島(山中崇)に知らされる。もっと狙いを明確にして来週までに出し直すことを求められるが、愛は何だか不安そうにしていて喜んでいない。それは、結婚をすること=仕事をやめるという父との取り決めや、この企画を通らせて、評価されることが長年の彼女の夢だったパリへの取材に繋がると同時に、日本での和彦との住まいの問題に直面してしまうからだ。しかし、田良島は「これは大野にしか書けない企画」と、力強い形で励まし、彼女自身が自分の幸せを追求することを肯定する。

 そこで良子が博夫に相談できなかったのに対し、愛は和彦に仕事と私生活の間で揺れている心情を素直に相談しにいった。しかし、自分の特集の件よりも自分の特集への興味、愛にとって和彦との結婚が何を意味しているのかなど、彼女の立場になって考えようともしない和彦。「僕は愛の意志を尊重する。女性も自分自身の意志で人生を選ぶべきだと言っているじゃないか」と、それっぽいことを言っているが、この発言自体が彼女とのことを真剣に考えていないことを表してしまっている。何も決めずに、行動もせず、ただ面倒な決断は相手任せ。仕事に関しても自分自身で自信が持てないからこそ、仕事面でも尊敬し、私生活でも愛している和彦にせめてどちらかの自分を肯定してもらったり、両面を知る彼にアドバイスをもらったり、彼発信の意見を愛は求めたのだ。しかし、そこまで愛が実直に伝えても「ごめん」としか謝らない和彦。

 共働きが珍しくない今の時代で、カップルがお互いの仕事に悩んだり、お互いとの生活に悩んだりすることは絶えずある。そこには、何を相手に相談するか、相談する時に自分は相手に何を期待しているか、逆に相談されたらどう答えていくべきか、という問いもついて回るのだ。逆に仕事の相談をしたら的外れなことを言われて嫌な思いをする、逆に変なことを言ってしまうのが嫌でお互いの生活の一部分を共有しなくなることも普通にあることだとも思う。ただ、そういったコミュニケーションをきっかけにカップルとしての関係に歪みが生まれることもあるのではないだろうか。第13週は、この「仕事の話と二人の話」をどのように進めていくか『ちむどんどん』カップルたちのやり取りに注目していきたい。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

関連記事