ドキュメンタリー映画『アルピニスト』、天才クライマーへの密着方法が明らかに

 ドキュメンタリー映画『アルピニスト』の本編映像が公開された。

マーク・アンドレ・ルクレール

 世界的アルピニストのレジェンドたちからも一目置かれている命知らずの若きアルピニストがいた。彼の名はマーク・アンドレ・ルクレール。命綱なし、たった独り前人未到の挑戦ーー。世界でも有数の岩壁や氷壁、数々の断崖絶壁を、命綱もつけず、たった独りで登る無謀なフリーソロという登山スタイルを貫いた彼は、SNS社会に背を向けながらも、不可能とされていた数々の世界の山脈の難所に挑み、次々と新たな記録を打ち立てていく。だが、そんな偉業を成し遂げながらも、名声を求めない彼の性格から世間的な知名度はほぼ皆無だった。

 本作のメガホンをとったピーター・モーティマーとニック・ローゼンは、20年近くにわたり、多くの山岳ドキュメンタリーを手がけ、高い評価を受けてきた気鋭の映像クリエーター。自身もクライマーとして山を熟知し、常にクライミング界の新星に注目していた人物だけに、ルクレールの存在を知った時は衝撃を受けたそう。

「マークは自分の技術、価値観を大切にしていて、自分のビジョンもハッキリしている。そういう人に会うといつも考えるんだ。他の人と何が違っているんだろうと。それが映画作りの原動力なんだ」

 しかしそんな百戦錬磨の巧者をもってしても、本作の主人公となるルクレールには苦労させられたという。さすらい人で、世間からの注目を好まないルクレールは、携帯電話も車も持たない“生粋の自由人”だった。

 SNSをやっていないルクレールにコンタクトをとるのは容易ではなく、モーティマー監督はブリティッシュコロンビア州のスコーミッシュに向かい、映画監督としてではなく、同じクライマー仲間としてルクレールに直接会いに行くことに。ルクレールもリラックスし、互いのことを知る機会となったという。

 ルクレールはカメラと一緒にクライミングすることを良しとしなかったが、その一方で新しい物事には常にオープンだった。本作を製作したセンダーフィルムが、アレックス・オノルドらが主演する映画を制作していたこと、そもそも彼がクライミングに興味を持ったきっかけとなったのが、本を読んだからだったということを例に挙げて、ルクレールは「彼らが自分の物語を語ってくれなかったら、どうやってその活躍を僕が知ることができただろうか? だから他の人がヒントを得てくれるなら、僕も自分の経験をしまっておかず、みんなにシェアして夢を与えられれば良かったんだ」と語った。

  モーティマー監督は「マークはつかみどころのない人間だろうと覚悟していたが、偉大でありながらほとんど知られることがなかった彼のことを伝えられて、やった価値はあったよ」と語っている。

ドキュメンタリー映画『アルピニスト』本編映像

■公開情報
『アルピニスト』
7月8日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督:ピーター・モーティマー、ニック・ローゼン
出演:マーク・アンドレ・ルクレール、ブレット・ハリントン、アレックス・オノルド
制作:レッドブルメディアハウス
配給:パルコ ユニバーサル映画
2021年/英語/アメリカ映画/G/93分/ビスタ/原題:The Alpinist
(c)2021 Red Bull Media House. All Rights Reserved.
公式サイト:https://alpinist-movie.com/
公式Facebook:https://www.facebook.com/eigaalpinist
公式Twitter:https://twitter.com/alpinist_movie

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