土屋太鳳が松下洸平にバックハグ 『やんごとなき一族』佐都はまさにジャンヌダルクのよう

 佐都(土屋太鳳)のたくましさが人々の心に光を灯す。切ない劇伴の中、悲しみに暮れる二人の姿でスタートを切った『やんごとなき一族』(フジテレビ系)の第8話。久しぶりの大介(渡邊圭祐)、マダムキリコ(長谷川京子)の登場と、佐都、健太(松下洸平)のひたむきな心により、ようやく夫婦に平穏が訪れようとしていた。

 「パーフェクトの呪い」をかけられた泉(佐々木希)は健太のことを諦めなかった。お腹の大きな佐都の病室にまで現れて二人を別れさせようとする。その後も猛攻は続き、商談だと健太を誘い出してはウェディングドレス姿で待ち伏せるなど、常軌を逸した行動で佐都と健太を困らせていた。だが、話を聞きつけた大介がキリコを通して佐都と健太を窮地から救う。キリコは立花(篠井英介)が裏でひどいパワハラをしていることを知っており、そのことを持ち出して温泉の掘削作業の許可を出すように交渉してくれた。さらにそこで、泉がフランスから帰国した衝撃の理由が明かされる。実は、泉は異国の地で元恋人を刺すという殺人未遂事件を犯していたのだ。このままでは健太の身にも危険が及ぶのでは。そう思った矢先、泉はビルの屋上で自殺未遂を試みる。助けようと手を差し伸べた健太は手錠をかけられ泉と繋がれてしまい、道連れになって落下。命は助かったものの、大怪我を負うことに。とうとう佐都は、話をするため泉の元へと向かうのであった。

 これまで佐都が問題のひとつひとつをうやむやにせず立ち向かってきたことの意味が感じられた第8話。佐都の言葉は多くの人々の心を動かしていた。それは呪いを解いてもらった泉だけでなく、久美(木村多江)も、有沙(馬場ふみか)も、キリコもそのひとりだろう。佐都が健太と共に解決してきたことが、めぐりめぐって二人を救うこととなる。理不尽や困難に立ち向かう存在として描かれてきた佐都だが、ドラマの中盤以降はしきたりに囚われてきた女性に救いを与える救世主のような存在にも捉えられる。その姿はシンデレラというよりは、まさにジャンヌダルク。「自分のしたことと向き合って」、「人は何度でもやり直せる」という力強い言葉に、泉の折れかけていた心が再生されていくのを感じた。

 佐都を演じる土屋太鳳もまた、その真っ直ぐな瞳と説得力のある力強い声色が魅力だ。土屋が演じる佐都なら、どんな苦境に立たされても負けずに乗り越えてくれるという期待が持てる。健太と病室のドア越しに話す場面は第1話同様、二人が顔を見ずに思いを伝え合うシーンとなったが、土屋の声が優しく響くたびに誠意と愛情が感じられた。健太がバックハグをした第1話との対比のように、今度は佐都がバックハグをする。女性としても頼もしく、パートナーとしても力強い佐都の魅力が溢れる瞬間だっただろう。

 今回は佐都と健太、そして泉の関係がフォーカスされたが、その裏では美保子(松本若菜)が何やら不穏な動きをしている。あれっきり不在の明人(尾上松也)が心配であることはもちろん、誰にも相談なしに立場のためだけに精子提供を受けようとする美保子のことも気にかかる。彼女は、これからどんな波乱を巻き起こすつもりなのか。まだまだ深山家に本当の平和は訪れていないようだ。

■放送情報
木曜劇場『やんごとなき一族』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:土屋太鳳、松下洸平、尾上松也、松本若菜、渡邊圭祐、松本妃代、馬場ふみか、佐々木希、石野真子、倍賞美津子、木村多江、石橋凌ほか
原作:こやまゆかり『やんごとなき一族』(講談社『Kiss』連載)
脚本:神森万里江、青塚美穂
演出:田中亮、三橋利行、水戸祐介
音楽:木村秀彬
主題歌:milet「Walkin’ In My Lane」(SME Records)
挿入歌:wacci「恋だろ」(Sony Music Labels)
プロデュース:宋ハナ
制作プロデュース:古郡真也
協力プロデュース:三竿玲子
制作協力:FILM
制作・著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/yangoto
公式Twitter:@yangoto_fuji
公式Instagram:@yangoto_fuji

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