『吉祥寺ルーザーズ』が描く温かな日々 物語と強くリンクするNEWSの「LOSER」

 東京・吉祥寺の謎めいたシェアハウスに暮らす、人生の負け組6人のドタバタしつつも温かな日々を描く『吉祥寺ルーザーズ』(テレビ東京系)。彼らの日々は相変わらずドタバタだ。6月6日放送の第9話では、彼らがシェアハウスに関するテレビの取材を受けることになった。

 とは言っても、“みんなでテレビに出よう!”とすんなり決まったわけではない。この話を最初に受けたのは桜(田中みな実)。グルメ記事を出している出版社の担当者の友人が、密着取材できるシェアハウスが見つからず困っているというのだ。最初から乗り気だったのは、芸人を目指している幡多(片桐仁)だけ。なんとか全員の承諾を得たい桜は、聡(増田貴久)には「困ってる人、放っておけないでしょ?」と声をかけ、舞(田島芽瑠)を「舞みたいな可愛い子が顔出ししないのはもったいないと思うけどね」とおだて、翠(濱田マリ)にはひとりだけギャラアップをちらつかせるなど、それぞれのツボに合わせて巧みに出演交渉。なぜか「協力できない」の一点張りだった池上(國村隼)を除いて、テレビ取材を受けることになったのだ。本筋とはズレてしまうが、彼氏との一件以降、舞がリビングによくいて、こういう会話に積極的に参加するようになったのがちょっと嬉しい。

 そして取材当日。張り切っていた桜だが、シェアハウスに来たテレビディレクターの山田(小久保寿人)を見るなり、顔色を変え、部屋に閉じこもってしまう。桜は「人生のウィナーとして、あえてシェアハウスに住む選ばれた人間として取材を受ける」と住人たちに取材の受け答えをみっちり指導していたので、4人は始めこそ、その教えどおりにやろうとするが、うまくいかない。そのうち4人は山田と打ち解け、次第にシェアハウスであった出来事や自分の身に起こったことをありのまま話すようになったのだ。

 このシェアハウスに集められてきたのは“ルーザー”たちである。そんな彼らから語られるエピソードは、どうしてもかっこいいものではない。以前なら、強がって話そうともしなかったり、逆に変に話を盛ったりしただろう。だが、今は違う。妹の一件を話す幡多も、彼氏とのことを話す舞も自嘲しすぎることなく、その話を笑い話に変えている。

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