『マイファミリー』を構成する精鋭たち　賀来賢人、濱田岳、玉木宏ら“主役級”が勢揃い

ここからが玉木宏の見せ場だ！

　賀来賢人演じる三輪、濱田岳演じる東堂らとまったく異なるポジションで誘拐事件に立ち向かっているのが、玉木宏演じる葛城圭史。「神奈川県警捜査一課・特殊犯対策係補佐・警部」という肩書きを持つ彼は、かつて部下であった東堂が被害者となった誘拐事件で敗北して以降、ずっと犯人を追っている。一見、穏やかな性格の持ち主のように思えるが、被害者の心情を慮るよりも、どうにかして捜査を推し進めようというスタンスを崩さない男だ。彼の笑顔をよく見てみると、目が笑っていない。

　本作における“玉木＝葛城”の立ち位置は非常にユニークだ。温人らにとって葛城は、敵なのか味方なのか分からないからである。もちろん、「誘拐事件」とその犯人を敵視する彼は、どちらかといえば“正義の人”なのだろう。しかし、犯人逮捕に執着し、絶対的な自信を持って捜査にあたる葛城は、先述しているように被害者への配慮が欠けている。“被害者側”に立つ人間とは言い難く、あくまで彼の頭の中にあるのは（恐らく）、「犯人逮捕」の四文字だけである。

　物語はいよいよ大詰めだが、被害者側の人間を演じる賀来や濱田と比べると、いまのところ玉木の登場シーンは少ないのではないだろうか。主として描かれるのは被害者のメンタリティと、それを反映した行動の数々である。葛城の姿は、これらの合間に挿入されていたに過ぎないだろう。しかしその執着ぶりは限られたシーンの中で明示され、“玉木＝葛城”の存在は事件に直接的に関わる者たちに引けを取らないものでもある。犯人に近づけば近づくほど、本作における彼の存在は強大なものになっていくはずだ。ここからが見せ場である。

　さて、本稿では『マイファミリー』における賀来賢人、濱田岳、玉木宏らについて記したが、もちろん松本幸四郎や、ヒロインを務める多部未華子らの存在も忘れてはいけない。彼らの年齢にバラツキはあるが、誰もが“主役級”の俳優だ。本作を放送している「日曜劇場」というと、とにかく出演者が多いのが特徴だが、『マイファミリー』は少数精鋭で骨太なドラマを展開している。

■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00～21:54放送
出演：二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登（美 少年／ジャニーズJr.）、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、松本幸四郎、富澤たけし（サンドウィッチマン）、濱田岳、玉木宏
脚本：黒岩勉
演出：平野俊一
プロデューサー：飯田和孝、渡辺良介（大映テレビ）
スーパーバイジングプロデューサー：那須田淳
協力プロデューサー：大形美佑葵
音楽：大間々昂
主題歌：Uru「それを愛と呼ぶなら」（ソニー・ミュージックレーベルズ）
製作著作：TBS
(c)TBS