ジャン=マルク・ヴァレ監督作『C.R.A.Z.Y.』予告編公開 父親の理想像に抗う息子の姿が
ジャン=マルク・ヴァレ監督作『C.R.A.Z.Y.』の予告編が公開された。
本作は、アカデミー賞3部門受賞の『ダラス・バイヤーズクラブ』、ヴァネッサ・パラディ主演の『カフェ・ド・フロール』などを手がけ、2021年12月25日に亡くなったヴァレ監督が2005年に発表した作品。シャルル・アズナヴール、デヴィッド・ボウイ、ローリング・ストーンズらの時代を彩る楽曲とともに、保守的な家庭で育った青年のアイデンティティ確立までの葛藤と成長を描く。
1960年代の保守的な家庭で、5人兄弟の4男として育ったザック。「特別な子」と呼ばれた彼は、軍で働き音楽を愛する父親と過保護気味の母親、それぞれ文武に秀でた兄2人、問題だらけの次男を観察しながら幼少期を過ごす。やがて思春期に足を踏み入れる1970年代。ザックは同性に惹かれ始めた自らのアイデンティティと、男らしくあれという父親の価値観の間でもがくようになる。
ヴァレ監督は、本作について「一生に一本でいい、こんな映画を作りたい、作らなければと思う映画に出会うことがある。『C.R.A.Z.Y.』も、そんな映画の一本であると思いたい」と語っている。
公開された予告編は、1960年の12月25日に誕生した赤子のザックを見たがる兄が伸ばした手によって、父ジェルヴェの腕から落下してゆくシーンから始まり、ザックは「物心がついたころからクリスマスが嫌いだった」と独白する。成長するにつれて父親の理想の息子でいられなくなっていくザックの姿と、「あいつは変わっちまった」と嘆く父親。そして、3人の「クソ」な兄たち、中でも”天敵”の次男レイモンとの乱闘のカットも映されている。また、軍で働き音楽を愛する、友達の平凡な親とは全く違う世界一の父親の姿も。父の望む姿でありたいという思いと、それに抗う衝動。「普通になりたい」とこぼす彼の下した決断とは。ユーモアと切実さに満ちたザックの独白、そしてデヴィッド・ボウイ、ピンク・フロイド、ローリング・ストーンズ、パッツィー・クラインらによる1960~70年代の楽曲が、映画本編に彩りを与えている。
■公開情報
『C.R.A.Z.Y.』
7月29日(金)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにてロードショー
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:ミシェル・コテ、マルク=アンドレ・グロンダン、ダニエル・プルール
配給:ファインフィルムズ
後援:カナダ大使館、ケベック州政府在日事務所
2005/フランス、モロッコ/フランス語、英語/カラー/129分 映倫:PG12/原題:C.R.A.Z.Y.
(c)2005 PRODUCTIONS ZAC INC.