『アウシュヴィッツのチャンピオン』予告編 生きるため戦う鬼気迫るボクシングシーンも

 映画『アウシュヴィッツのチャンピオン』の予告編が公開された。

 本作は、アウシュヴィッツ強制収容所で司令官や看守らの娯楽として消費される葛藤を抱えながらも、生き延びることを諦めずにリングに立ち続けた一人のボクサーの実話を基にしたヒューマンドラマ。モデルとなった実在のボクサー、タデウシュ・“テディ”・ピトロシュコスキは、看守やカポ(囚人の中の統率者)を相手に数十戦の勝利を収め、囚人仲間にとってナチスの恐怖を打ち破り生き残るための希望の象徴だった。元囚人たちの証言や、本人の記憶をもとに、彼が歩んできた歴史を映像化した。

『アウシュヴィッツのチャンピオン』予告編
 

 公開された予告編は、アウシュヴィッツ強制収容所に移送される最初の囚人として、主人公のテディが連行される場面からスタートする。次々にガス室に送られる人々や射殺される人々、厳しい監視下で非道な扱いを受ける囚人らの様子が切り取られ、そこで起きていた悲劇が明らかになる。テディは、一人のカポにボクシングチャンピオンであった才能に気付かれると、看守らの娯楽としてリングに立たされることになる。次々に勝利を収めていくテディの表情からは、勝ち残ったことへの喜びではなく、誇りを持っていたボクシングが生き延びるための手段となってしまった事実に葛藤する様子が伝わってくる。それでも、親しくなった少年ヤネックや囚人仲間たちのために闘いを続け、戦利品として手に入れた食料や薬を惜しげもなく分け与えるシーンや、主演を務めたポーランドの俳優ピョートル・グウォヴァツキがクランクイン数カ月前からトレーニングを重ね、スタントマンなしで撮影に挑んだという鬼気迫るボクシングシーンも収められている。テディは次第に、ナチスは無敵ではないのだという希望の象徴となり、囚人たちの士気を高めていく。予告編の最後には、「いつかすべてが終わったら、君はどうやって生きる?」という司令官の言葉とともにテディの表情が映し出される。

 あわせて予告編のシーンを収めた場面写真も公開された。

■公開情報
『アウシュヴィッツのチャンピオン』 
7月22日(金)公開
監督・脚本:マチェイ・バルチェフスキ
出演:ピョートル・グウォヴァツキ、グジェゴシュ・マウェツキ、マルチン・ボサック、ピョートル・ヴィトコフスキ、ヤン・シドウォフスキ 
配給:アンプラグド
2020年/ポーランド/英題:The Champion of Auschwitz/91分/カラー/5.1ch/日本語字幕:渡邉一治
(c)Iron Films sp. z o.o,TVP S.A,Cavatina GW sp.z o.o, Hardkop sp.z o.o,Moovi sp.z o.o
公式サイト:unpfilm.com/COA

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