『鎌倉殿の13人』菅田将暉の義経はあまりに見事だった 頼朝の慟哭が切なく響く

 そして義経。義経は、奥州へやってきた義時の行動が頼朝の指図によるものだと分かっていた。「それが分かってなぜ……」と問う義時に、義経は「この首で平泉が守れるなら、本望だ」と返した。泰衡勢が義経の館を取り囲む中、義経は鎌倉を攻める全く隙のない方法を記した文を義時に託した。義経は、最後の最後まで戦いを楽しむ姿勢を見せていた。泰衡勢の様子をカラカラと笑いながらうかがい見る姿が心に残る。とはいえ、里を刺し殺したときに見せた涙や「そこまで兄上にとって私は邪魔なのか」と力なく言った姿には、身内からの愛を求めながらも自らの手で殺め、受け入れてもらえない、義経の悲しみが十分表れていた。

 第20回は、義経の首桶を抱えて慟哭する頼朝の姿で幕を閉じた。奥州から戻り、鎌倉の子どもたちと息子・金剛(森優理斗)、八重(新垣結衣)に出迎えられる義時とは違い、頼朝はたった一人で弟の首と向き合う。頼朝はようやく、素直に思いを伝えることができるのだが、頼朝が話しかけても、義経から答えが返ってくることはない。人を信じすぎるがゆえに悲劇の最期を迎えた義経と、人を信じることができず、弟を討つことになった頼朝。平家打倒の悲願は成就したにもかかわらず、虚しさだけが残る。

■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK

関連記事