小芝風花の愛すべき魅力は健在! 『妖怪シェアハウス』続編は今の社会に何を突きつける?
2020年夏クールにテレビ朝日系で放送されて人気を博したドラマ『妖怪シェアハウス』が、続編ドラマ『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』となって放送が始まった。それだけではない。6月17日には、『妖怪シェアハウスー白馬の王子様じゃないん怪ー』として映画も公開される予定だ。
前シリーズの冒頭は、主人公の目黒澪(小芝風花)は借金取りに追われるところから始まる。その原因を作った彼氏の元を訪れるも他の女性と二股していたことが発覚。澪がやっとたどり着いたのが妖怪ばかりが共同生活をしているシェアハウスだった。
妖怪たちと暮らすうちに、気が弱く流されがちだった澪が、理不尽なことに怒ったりできるようになっていく。それと同時に、澪の頭上には「角」が生えてくるが、それは不吉なものではなく、女性が夢中になったり、ときに怒ったりすることの象徴であった。澪は自分とシェアハウスの住人たちとのことを一冊の本にしたため、シェアハウスを出て、たくましく生きていく……というところで終わっていた。
あまり日本のテレビを観ない人から、「日本にはフェミニズムについて書いたドラマはないの?」と言われたら、『妖怪シェアハウス』を勧めてきた。コミカルな妖怪ものというファンタジーではあるが、前シリーズの第1話でも、澪を窮地に貶める男性には「ミソジニー」があるということを、セリフでも表していた。
長らく、実社会でも、物語の中でも、女性の能力は正当に評価されず、やる気だけが搾取され、そして特に怒りは抑えるものとされがちであった。それは、映画『アナと雪の女王』や『キャプテン・マーベル』などでも、女性の能力は、手袋などで隠したりして抑えるものであるとされ、そこから解放される姿が描かれてきた。
『妖怪シェアハウス』で能力、やる気、怒りを象徴しているのが澪に生えてきた「角」である。女性の「角」は、「角隠し」などといった風習もあることからわかるように、隠すべきものとされてきたが、このドラマでは「角」があることは否定されず、澪はその「角」と共に生きていくことを決意するし、その「角」を見たものは、幸せになれるという結末であることからも、抑圧からの解放を描いているともとれる。
そして、今回の『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』である。たくましくシェアハウスを出て行った澪だったが、また角を失って元の気の弱い姿に戻り、しかも本を出版しても食うこともままならず、数々のバイトを掛け持ちしていた。澪はふたたび妖怪たちのシェアハウスにたどり着き、また共同生活を始める。