『ファンタビ』第2作は最新作を読み解くヒントに グリンデルバルドが放つ奥深い魅力
本作における重要な要素は他にもある。前シリーズである『ハリー・ポッター』を知る観客なら誰しもが感嘆の声を上げるだろう。そう、ハリーたちが通ったホグワーツ魔法学校が登場するのだ。
これは明らかに『ハリー・ポッター』ファンに対するファンサービスなのだが、ファン目線でいうところのホグワーツとは単なる物語の舞台というだけでなく、2つのシリーズに連綿と描かれるヒューマンドラマに深く関わる場所としての印象が大きい。
たとえば『ハリー・ポッター』シリーズにおいて、同じく闇の魔法使いとしてグリンデルバルドの後に登場したヴォルデモートや、主に物語後半でのキーパーソンとなるセブルス・スネイプが学生時代を過ごした回想にはホグワーツが登場する。多くの人物が二度と戻らぬ過去を過ごした場所がホグワーツなのであり、今に至るまで変わらぬ姿でそこにある。
それは本作でもニュートとリタの学生時代を描いた回想、そしてダンブルドアと大人になったリタが会話をするシーンで強調されている。互いの後悔について静かに語るふたりだが、シリーズ最新作でも同様にホグワーツが登場し、のちに校長となる人物として密接な関わりを持つダンブルドアに焦点が当たっていく。邦題にもなっている”ダンブルドアの秘密”とは、劇中でその片鱗のみ語られた彼とグリンデルバルドの過去に関係しているのではないかということが推測できる。
以上を踏まえて、ダンブルドアが“みぞの鏡”でグリンデルバルドとの在りし頃を見ているシーンや、ふたりで交わした血の誓いのペンダントを戦いのために破壊できるかとニュートに問われた時の「Maybe(たぶん)」という言葉について改めて考えを巡らせてみると、また新たな印象と今後の展開への興味を抱けることだろう。
このように、シリーズ2作目である本作は直接的に最新作へ繋がる要素が盛り込まれており、細かく注目しながら観ることで最新作を読み解くヒントに繋がっている。
本作で決定的な関係性の変化が描かれたクイニーとジェイコブの未来や、今まで自分のテリトリーを出ずに行動してきたニュートと正義感に満ちた兄のテセウス、ふたりの兄弟の歩み寄りから続く最新作でのチームワークなど、2作目を経たキャラクターの動きも気になるところ。最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』を深く理解し楽しむ上で、ぜひ繰り返し観ておきたい作品だ。
参照
※1. 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 魔法のアーカイブ』シグニー・バーグストローム、ハーパーコリンズ・ ジャパン
※2. https://theriver.jp/fb3-madds-wish-talk-depp/
※3. https://theriver.jp/fb3-mads-depp-similarity/
■放送情報
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』
日本テレビ系にて、4月8日(金)21:00〜放送
監督:デヴィッド・イェーツ
原作・脚本:J・K・ローリング
プロデューサー:デヴィッド・ヘイマン
出演:エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、ジュード・ロウ、ジョニー・デップ、エズラ・ミラー、ゾーイ・クラビッツ、カラム・ターナー、クラウディア・キム
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