ウィル・スミス、映画芸術科学アカデミー会員を自ら辞任 Netflixの主演映画も製作ストップ

 3月27日(米現地時間)に開催された第94回アカデミー賞授賞式で、俳優のウィル・スミスが脱毛症を患う妻ジェイダ・ピンケット・スミスの髪型をジョークのネタにされて立腹し、プレゼンターを務めたクリス・ロックの顔面を平手打ちした騒動を受け、4月1日にスミスがアカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーを退会したことが明らかとなった。米Deadlineなどをはじめとする複数メディアが報じている。

 この騒動後、『ドリームプラン』の演技で主演男優賞に輝いたスミスは受賞スピーチでアカデミーに向けて謝罪し、翌日には自身のInstagramにて謝罪文を投稿。アカデミーだけでなくロックにも謝罪したが、事態を重く見たアカデミーは、「不適切な身体的接触、罵倒または脅迫、アカデミー賞の品位を損なう行為」として懲戒手続きを開始。3月30日には、スティーヴン・スピルバーグをはじめとする50人以上の役員がバーチャル会議にて話し合いの場を設け、「アカデミーの行動規範に違反した」とのアカデミー側の主張に対し、15日以内に書面で返答するようスミスに通告。4月18日に懲戒聴聞会を開き、スミスの運命を決定する手筈となっていた。

 しかし、スミスは決定的な懲戒処分が下される前に、自ら映画芸術科学アカデミーから退会することを決断。スミスが出した声明は以下となっている。

「アカデミーによる懲戒聴聞会の通知に直接お応えします。私の行為に対する、あらゆる結果を完全に受け入れるつもりです。第94回アカデミー賞授賞式における私の行動はショックを与え、痛みを伴う許しがたいものでした。私が傷つけた人はクリスと彼の家族、私の親しい友人や愛する人たち、会場にいたすべての人々、そして世界中の観客を含め、長いリストとなってしまいました。私はアカデミーの信頼を裏切り、他の候補者や受賞者、彼らの素晴らしい仕事を称えて祝福される機会を奪ってしまったのです。私の胸は張り裂けるような思いです。私は、アカデミーが注目されるべき人々に焦点を戻し、映画における創造性と芸術性を支援するために、素晴らしい仕事に戻れることを願っています。そのために私は映画芸術科学アカデミーの会員を辞任し、理事会が適切と考える如何なる今後の結論も受け入れるつもりです。変化には時間がかかりますが、私は暴力が理性を凌駕することを二度と許さないよう、尽力を惜しまない所存です」

 その後、映画芸術科学アカデミーはスミスの退会を受理したとの声明を発表。アカデミーを退会したスミスはアカデミー賞の投票資格を失うが、『ドリームプラン』で受賞した主演男優賞受賞は取消し処分にならないとのこと。しかし、4月18日にアカデミーは予定通りに聴聞会を開き、現在検討中のスミスに対する処分の手続きを進めていく意向だという。授賞式では前年の受賞者が主要部門のプレゼンターを務めることが恒例となっているが、第95回授賞式でスミスが登壇する可能性は少ないと見られている。

 スミスのアカデミー退会で今回の騒動が一件落着したかに見えたが、その余波は続いているようだ。The Hollywood Reporterによると、スミスはNetflixの新作映画『Fast & Loose(原題)』で主演を務める予定だったが、製作が保留になった模様。また、決定していたスミス&マーティン・ローレンス主演のバディ・コップ映画『バッド・ボーイ』シリーズ第4作の製作も、中断されたと報じられている。

参照

https://deadline.com/2022/04/will-smith-resigns-oscars-slap-chris-rock-1234992840/
https://variety.com/2022/film/news/will-smith-resigns-academy-oscars-slap-chris-rock-1235221041/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/will-smith-netflix-movie-1235123901-1235123901/

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