『カムカムエヴリバディ』五十嵐が明かした空白の10年 本郷奏多の自信に溢れた面持ち

 ハリウッド映画『サムライ・ベースボール』の日本人出演オーディション当日。アクション監督の到着を待つひなた(川栄李奈)の前に、10年前、俳優の夢を諦めたはずの五十嵐(本郷奏多)が現れる。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第22週初日を迎え、ひなたは五十嵐との10年ぶりの再会に動揺する。

 ひなたが思わず「めちゃくちゃかっこようなってへん!?」と叫んでしまうほど、本郷演じる五十嵐の雰囲気はぐっと大人っぽくなっている。

 ひなたと別れた後、父の事業を手伝っていた五十嵐だが、その仕事では俳優を目指していた頃の高揚感を感じられなかった。ひなたの父・錠一郎(オダギリジョー)からトミー北沢(早乙女太一)のCDを受け取った五十嵐は、アメリカで録音されたトランペットの音色に耳を傾けているうちにもっと広い世界が見たくなった。そして五十嵐は2年で会社を辞め、単身アメリカへ渡る。

 10年の間に紆余曲折あったと思うが、ひなたに語りかける本郷の表情は清々しい。五十嵐は初登場時、“無愛想な男”だった。ひなたと出会った後、俳優の夢を叶えられないことに焦りを見せ、涙を流して別れを決断したあの頃の“文ちゃん”はいない。「ようやく自分の道を見つけられたよ」と話す顔つきには、アメリカでの苦労を乗り越え、アクションコーディネーターとして大成した自信が感じられた。

 そんな五十嵐だが、虚無蔵(松重豊)と再会したときには、10年前と変わらない師弟関係が感じられる。虚無蔵の姿を見つけるや否や駆け寄り、「あの、俺……」と現況を報告しようとする声はどこか嬉しそうだ。虚無蔵は「鍛錬を怠らなかった証しだ」と五十嵐を労い、頭をポンポンと優しくなでた。照れくさそうに頭を下げる五十嵐の仕草に、観ていて心があたたかくなる。

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