E・ケストナー唯一の大人向け長編小説を映画化 『さよなら、ベルリン』6月公開決定

 第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、2021年ドイツ映画賞では最多ノミネート、主要3部門を受賞した映画『Fabian-Going to the Dogs(原題)』が、『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』の邦題で6月10日よりBunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開されることが決定した。

 原作は、『エーミールと探偵たち』『点子ちゃんとアントン』『飛ぶ教室』『ふたりのロッテ』などで知られる児童文学の大家エーリヒ・ケストナーが書いた唯一の大人向け⻑編小説『ファビアン あるモラリストの物語』(みすず書房刊)。

 舞台は1931年のベルリン。出口のない不況は人々の心に空虚な隙間をつくり、ひたひたと迫るナチスの足音が聞こえてくる。作家を志してベルリンにやってきたファビアンは、時代の中でどこへ行くべきか惑い、立ち尽くしていた。女優を夢見るコルネリアとの恋。ただ一人の“親友”ラブーデの破滅。やがてコルネリアは女優への階段を登るためファビアンの元を離れ、次第に二人の関係は崩壊していく。

 監督を務めたのは、本作が本邦初公開作となるドミニク・グラフ。主演は、『コーヒーをめぐる冒険』でドイツ映画賞主演男優賞をはじめ数々の賞を獲得し、その後もスリラー『ピエロがお前を嘲笑う』や『ある画家の数奇な運命』で注目を浴びたトム・シリング。ヒロインは、『さよなら、アドルフ』で主演を務めたザスキア・ローゼンダール。2人は、『ある画家の数奇な運命』に続き2度目の共演となった。

 あわせて日本版ポスタービジュアルも公開。「僕はどこへ?」のキャッチコピーと戸惑いの表情を浮かべる主人公ファビアンの姿が。背景にはナチスの象徴である“ハーケンクロイツ”、燃やされる本など、ファビアンを取り囲む時代を象徴する写真が並ぶ。

■公開情報
『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』
6月10日(金)より、Bunkamura ル・シネマほか全国順次公開
監督:ドミニク・グラフ
出演:トム・シリング、ザスキア・ローゼンダール
原作:エーリヒ・ケストナー『ファビアン あるモラリストの物語』(みすず書房)
配給:ムヴィオラ
2021年/ドイツ/178分/スタンダード/字幕:吉川美奈子/英題:Fabian - Going to the Dogs
(c)Hanno Lentz / Lupa Film

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